また、心理学者は完璧主義を3種類に分けている。
「自己志向型」完璧主義者は、仕事や人間関係に対して高い目標を設定する。彼らは、ライバルに負けるのではないか、試験に失敗するのではないか、仕事でボーナスが出ないのではないかと、不安に駆られることが多い。
「他者志向型」完璧主義者は、周囲の人々に極めて高い基準を求める。他人に対して非常に批判的かつ一方的で、社会的に拒絶されたり人間関係でトラブルを起こしたりする危険がある。
3つ目の「社会規定型」完璧主義者は、他者から完璧に見られなければという大きなプレッシャーを抱えつつ、同時に他者からの称賛も求めている。このタイプの人々は、自分に対してありえないほど高い基準を設定するため、人に細かいところまで見られている、拒絶されたと感じることが多い。その結果、日常的に自尊心が傷つき、ネガティブな感情ばかりを抱くことになる。
ところで、完璧主義者であることと、ただ高い目標を設定することとの境界はどこにあるのだろう? 多くの場合、この境界は、その人が成功や失敗をどう受け止めるかで決まる。勤勉で真面目なだけなら、成功に感謝し、失敗したら目標を修正する人が大半だ。彼らは戦略的利益のために、それに見合った努力をすることができる。
完璧主義者はいい結果に満足しない
一方、完璧主義者は、いい結果が出てもあまり喜びを感じない。目立った成功を収め、目標を達成しても、このレベルを維持しなければ、ゴールポストをもっと遠くに置かなければ、というプレッシャーを感じてしまうのだ。
たしかに完璧主義には遺伝的要素があるものの(両親にその傾向があると、子どももそうなる確率が高くなる)、完璧主義へと向かわせる環境要因がここ数十年で増加している、と話すのは、イギリスのバース大学のトーマス・カランだ。彼によると、一世代前のイギリスのような国では、政府が責任をもって教育し、「達成」に対するプレッシャーも少なかった。
現在では、若者たちが成功のリスクも失敗のリスクも自分で負っている。自分たちで大学の学費を払い、小さいときから標準化されたテストを受け、いい学校に入るために競争し、そのうえ、非現実的な目標を設定してくるソーシャルメディアにまで対処しなければならない。
完璧主義はそれほど悪いものではないように思うかもしれない。たしかに、完璧主義者が学術分野や自分のキャリアで成功を収める可能性が高いと考えるのは正しいだろう。が、そこには決定的な負の側面がある。完璧主義自体は何かの症候群とは考えられていないものの、精神疾患の症状と強い関連がある。
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