工場で「過酷労働と暴言」8浪の彼が感じた恐怖心 いじめや引きこもり、彼の壮絶な人生に迫る

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こっしーさんも成績がいいとは言えず、真ん中より低い順位だったようです。アルコール依存症だった父から言葉の暴力を浴びせられて育ったために自己肯定感も低く、学校生活に馴染むこともできずに暗い少年時代を送りました。

「空気が読めずにただヘラヘラ笑っている子どもでした。小3のとき、バイキン扱いされていて、体が大きい子に殴られていじめられていたのですが、先生に助けを求めても取り合ってくれず、父親も『やられたらやり返せ!』と言う始末でした」

中学校に上がってからも最初のテストでつまづいてやる気を失い、それ以降の3年間は中間テストや期末テストで数学や英語は35点、国語・理科・社会などはずっと20点以下ばかりだったそうです。

「『自分は頭が悪いんだ』と思うようになりました。進路を決めるときの内申点が9教科で19/45点しかなく、荒れている高校か、機械科や電気科のような専門科のある高校に行くしかない状況でした」

そこで、こっしーさんは母親が勧めた、とある調理師専門学校の高等コースに入る決断をします。

3年間で卒業すると、調理師免許と高校卒業資格を取れるコースでした。

しかし、そこで経験した出来事が、彼の人生の意識を大きく変えるきっかけとなります。

「中学3年生のときに定期考査で1桁の点数をとっていた私が、この高校に入るといきなり93/100点を取れたので、驚きました。授業はアルファベットで始まり、ノートを取ったらガリ勉と呼ばれてバカにされる環境だったんです。四年制大学への進学率は0%で、かろうじて短大進学者が1人いただけです」

いじめの対象になり、引きこもりに

高校2年生になるころには、コミュニケーションを取るのが苦手だったこっしーさんはいじめの対象になります。

自身の進路選択を悔やんだこっしーさんは、なんとか学校に行って調理師免許を取ったものの、うつ状態になり、引きこもりになりました。

「家でも親が暴れているから、2次元の美少女ゲームをすることだけが、自分の救いでした。どこに行っても虐げられました」

そんな絶望の中で引きこもりをしていた彼が、勉強で人生を変えることになるとは、はたしてこのとき誰が予想できたでしょうか。

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