元日本代表・秋田豊、私財投じてクラブ社長の覚悟 スポンサー収入、観客動員数の引き上げに奔走
今年からいわぎんスタジアムのメイン側にSSS席の年間シートを設定し、15万円程度で販売。秋田社長の営業力もあって完売近くまでこぎつけたものの、暖を取るためのベンチコートやひざ掛けが足りず、観客に寒い思いをさせてしまう失敗もあった。
そこで、2戦目からは座席数に応じた十分な数を用意し、快適な観戦環境が整うように配慮したが、スタッフ1人ひとりが先回りして対処できないケースが多い。秋田社長は「人を動かすことの難しさ」を監督時代以上に痛感する日々を過ごしている。
「僕が現役時代に長く在籍した鹿島や名古屋だったら、すでに確立された運営スタイルがあるから、そういった苦労や失敗はないと思う。でも地方のJ3クラブは違う。ゼロから作るという発想でやらなきゃいけない。でも、リアルに自分のクラブを作るのが醍醐味でもあるんです。ドリンク1つ取っても、試合を重ねるごとに売上が増えれば素直に嬉しいし、スタッフが笑顔で働いているのを見るとやりがいを感じる。僕はコツコツ積み上げていくのが好きなんでしょうね」と彼は笑う。
当初、人脈はほとんどなかった
営業面にしても、もともと愛知県出身の秋田社長にしてみれば、岩手県は全くのアウェー。未知なる地を開拓していくのはハードルが高いはずだ。
「3年前に初めて岩手に来た時はほとんど人脈はなかったですね。たまたま住んだマンションに地元テレビ局の社長がいて、その人と仲良くなり、一緒にゴルフに行く中で財界の方々を紹介してもらって、徐々に広がっていきました。
ゴムバンドのビジネスでも人との付き合いの大切さは分かっていたので、自分から積極的に動いて仲間を増やしていくように努めましたね。東北の人は最初はあまり喋らないけど、深く知り合えば温かく迎えてくれるし、受け入れてもらえる。そういう気質も僕にとっては有難かった。
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