経済の状況を把握するのに要チェックな日本企業 変化の兆しがいち早く現れる日本企業とは?

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半導体関連企業というと、恐らく真っ先に思い浮かべるのは大規模の半導体メーカーだと思います。世界にはインテルやサムスン、クアルコム、テキサスインスツルメント、エヌヴィディアなどの半導体メーカーがあります。熊本に工場進出して話題を集めている台湾のTSMCは、これら半導体企業からの委託を受けて、半導体の製造自体を請け負っている「ファウンドリー」です。

こうした企業は、半導体そのものを製造しているわけですが、半導体の動向をいち早く把握するためには、半導体製造のさらに「前段階の動向」を把握する必要があります。

現在の半導体は非常に微細な作業を必要とするので、人の手で作業をすることはできません。そのため、「半導体製造装置」と呼ばれる装置が用いられます。したがって、半導体製造装置の売上動向を見れば、景気サイクルの転換点をいち早く掴める可能性が高まります。

動向がいち早く現れるのは東京エレクトロン

現在、半導体企業の上位は、世界トップの売上高を持つサムスンをはじめ、ベスト10はすべて海外勢で占められています。サムスンの2021年の半導体売上は、759億8000万ドルでした。

ちなみに1990年代まで、半導体企業の大半は日本企業で占められていましたが、日米半導体摩擦という貿易紛争の影響もあり、日本の半導体企業は世界シェアを大幅に落としています。2021年の売上で、日本国内トップの半導体企業はキオクシアで、売上高は129億4800万ドルですから、サムスンの6分の1に過ぎません。

このように、日本の半導体企業は世界的に見てかなり負け組感が強いのですが、半導体製造装置など、半導体の周辺ビジネスでは、まだ日本企業の強みが残されています。東京エレクトロンという会社は、半導体製造装置では世界第三位のシェアを持っています。

売上高は2兆円で、2027年3月期には売上高3兆円、営業利益率35%以上を目指し、今後5年間で1兆円以上の研究開発費を投入して、最先端領域で市場開拓をねらうということを発表しています。

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