ホンダが「5回目」のF1参戦を決断した深い理由 今度こそ持続的なレース活動は可能になるか

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ここに来ての北米でのF1人気の加熱も、大きな要素となったはずだ。Netflixなどを通じて“バズった”F1は、今や北米だけでマイアミ、テキサス、そしてラスベガスにカナダという4つのグランプリを開催するに至っている。観客数もうなぎのぼりで5月に開催されたマイアミGPでは27万枚のチケットを売りきったという。それだけでなく世界中でF1は今、注目度を飛躍的に高めている。

大市場である北米での販売、イメージ向上を考えれば、F1から退場するのはナンセンス、続けるべきだとなって当然だろう。おそらくは今までF1にあまり積極的ではなかったアメリカンホンダからしても、そういう声が上がっているはずだ。

2026年からタッグを組むのはアストン・マーティン アラムコ コグニザントF1チーム。1チームへのワークス独占供給となる。

「アストン・マーティンF1チームはチャンピオン獲得を目指し、現在新施設をはじめさまざまな強化策に取り組んでおり、いま勢いのあるチームです。そしてわれわれホンダのF1PU技術を高く評価していただきました。その勝利への真摯な姿勢と情熱に私達も共感し、アストン・マーティン アラムコ ホンダとしてともにチャンピオンを目指すことになりました」

会見にはアストン・マーティンのローレンス・ストロール会長、そしてアストン・マーティンレーシングのマーティン・ウィットマーシュCEOが駆けつけた。何とストロール会長は日本時間の25日早朝にカンヌで行われた新型車DB12のデビューのために会見後すぐに日本を発つという強行軍だったが、それでも臨席したところに、まさに熱意がにじみ出ていたと言えるだろう。

アストン・マーティンとの不思議な縁

一方のウィットマーシュ氏は、実はホンダとは浅からぬ因縁がある。氏は1989年に当時ホンダと組んでF1を席巻していたマクラーレンに加わり、2013年のホンダのF1復帰、そしてマクラーレンとのジョイントの発表の際には、何と青山で当時の伊東孝紳社長と並んで記者会見を行っている。あれから10年、またもホンダとF1でタッグを組むべくこの場に立つとは、なんという偶然だろうか?

ホンダが4回目のF1復帰を表明した2013年の会見に、ウィットマーシュ氏はマクラーレンの代表として伊東社長と並んで出席していた(撮影:山内信也)

「はい、当時、契約を結んだのはまさに私でした。ホンダの勝利への情熱は素晴らしく、またぜひホンダと一緒にやりたいと思っていました。それだけにここにうかがえたことは本当にうれしく、光栄に思っています」

前回の時には、ホンダとの契約締結後にウィットマーシュ氏はマクラーレンを離脱していたから、うまくいかなかった両社の結婚生活には関与していない。しかし常勝時代含めてホンダをよく知るウィットマーシュ氏の存在が、今回の契約を後押ししたことは間違いないだろう。

実質的にホンダのPUを積むレッドブルは今季も絶好調で、チャンピオンシップは独走状態にある。一方のアストン・マーティンF1チームも一気に調子を上げており、今季は初優勝を遂げる可能性が高い。当然、2026年の合流後には最初から優勝、そしてチャンピオンシップを狙う立場での戦いが期待される。

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