ホンダが5月24日の朝11時から東京都港区の本社で会見を開き、2026年シーズンからのF1復帰を発表した。そう書くと、まず想像してしまうのが「こないだ撤退したばかりじゃない?」とか、あるいは「えっ、今もやってるよね?」といった反応だ。
正確にはホンダは2020年10月にF1への「参戦終了」を発表。2021年をもってF1へのパワーユニット(PU)供給を終了している。ただし、ホンダの撤退で積むPUがなくなったレッドブル、そして兄弟チームのアルファタウリに対しては、彼らが設立した独立したパワートレイン開発会社であるレッドブルパワートレインズ(RBPT)からの要請を受けて、4輪、2輪のモータースポーツ活動を行う子会社のホンダレーシング(HRC)を通じて技術支援を行うというかたちで、今もF1への関与を続けている状況である。
ただし、この協力関係も2025年限りとなることは決定済み。レッドブルは2026年よりフォードとタッグを組むことを、すでに発表している。一方、ホンダは参戦終了を宣言したとは言え、実質的にはPU開発、組み立てなどを担当しており、さらには将来的なF1へのPU供給を可能とする国際自動車連盟(FIA)へのF1マニュファクチャラーズ登録は済ませている。将来一体どうするつもりなのかは注目されていたのだ。
心変わりの背景にあるものは
そもそもホンダがF1撤退を決めたのはカーボンニュートラルへ注力するためと説明された。F1に携わっていた人材、資源をそこに集約する。その覚悟がなければホンダが掲げる2040年のカーボンニュートラル化には到達できない。そう説明したのはほかでもない、今回壇上でF1復帰を発表した三部敏宏社長その人であった。
あれからまだ3年しか経っていないというのに、なぜホンダはF1復帰を決めたのか。カーボンニュートラルは一体どうなったのか。おそらく多くの人はそんな疑問を抱いているのではないだろうか。その決断には、F1自体の変化が大きく影響していることは間違いない。
2022年8月に、2026年からのF1の新しいレギュレーションが発表された。これによれば、まず燃料は化石燃料から完全に脱却したカーボンニュートラル燃料が100%用いられる。また、現在使われているMGU-Hと呼ばれる熱エネルギー回収システムが廃止され、通常のハイブリッドシステムであるMGU-Kの出力が大幅に高められることとなった。
「総出力を1000PSとするならば現在のPUではエンジンが800PS強に対して、モーターは200PS弱に留まるところが、26年からモーターとエンジンがそれぞれ500PSずつになります」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら