トヨタが液体水素カローラでレースに挑む深い訳 川重、岩谷産業と組み、普及に向けた知見高める

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液体水素を燃料に積んだGRカローラ
液体水素を燃料に積んだGRカローラ。2月23日、富士スピードウェイ(静岡県小山町)でスーパー耐久(S耐)のテスト走行を行った(写真:トヨタグローバルニュースルーム)
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2021年のスーパー耐久シリーズの第3戦、富士24時間レースで水素を燃料とする内燃エンジン(以下“水素エンジン”)を搭載したカローラがレースデビューを飾ってから約2年。昨シーズンまでは、燃料電池自動車「MIRAI」の高圧水素タンクなどを流用して作られたマシンで戦い、技術と速さに磨きをかけてきたが、この2023年シーズンからは新たな挑戦が始まった。これまでの圧縮気体水素に代えて、液体水素を燃料として用いるマシンが投入されるのだ。

液体水素のメリットは、体積エネルギー密度の高さである。ざっくり言って液体水素カローラには、従来の水素カローラの2倍近い量の水素を搭載できる。一方で、水素を液化するにはマイナス253℃以下という超低温にしなければならないのが大きな課題と言える。

液体水素エンジン車を24時間レースに投入

この液体水素エンジン車は3月中旬に鈴鹿サーキットで行われた開幕戦から実戦投入される予定だったが、直前のテストでトラブルが起き、車両修復が間に合わないということで残念ながら出走が見送られた。デビューは奇しくも2年前と同じくいきなりの24時間レースとなることが確定したわけである。

水素エンジン、そして今回の液体水素エンジンについてはトヨタのカーボンニュートラルに対する「マルチパスウェイ」という考え方が反映されている。要するにカーボンニュートラルへの途はBEV化がその唯一のものではなく、目標に向かってさまざまな選択肢を用意するべきだということだが、ここで見逃してはいけないのが、トヨタだけがそう考えているわけではないということだ。

実際、水素エンジンカローラでの挑戦に賛同する“仲間”であるパートナー企業は当初の8社から、液体水素カローラの投入の現時点で実に39社に達している。水素社会の実現は国策だということもあるが、何より日本には、そこに活きる高い技術力をもった企業がいくつもある。彼らもまたパートナーとして、この液体水素エンジンカローラでのスーパー耐久レース参戦をサポートしているのだ。

特に川崎重工業、そして岩谷産業の2社は当初から強力なパートナーとしてこのプロジェクトを支えてきた企業である。まず川崎重工業はオーストラリアで採掘される褐炭から液体のブルー水素を製造し、液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」で日本まで運搬するという水素の「作る」と「運ぶ」を手掛ける。

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