ホンダ、5回目「F1復帰」で内外に渦巻く期待と不安 低収益にあえぐ4輪事業、課題は開発費の捻出

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ホンダの三部敏宏社長(左)は複数のチームと交渉した末に、アストン・マーティンを選んだことを明かした(写真:ホンダ)

「社員の退職防止や最高峰のレースでの勝利による技術の誇示などが期待できる」(ホンダの中堅社員)、「現在の経営状況で、F1にかかる莫大な費用をどうひねり出すのか」(別のホンダ社員)。

ホンダは5月24日、自動車レースの最高峰「フォーミュラ・ワン(F1)」に2026年シーズンから参戦すると発表した。英アストン・マーティンF1と組み、同シーズンから適用される新レギュレーションに沿ってエンジンや電動部品などのパワーユニットを供給する。

アストン・マーティンは今2023シーズン、コンストラクターズポイント(チーム単位でのポイント数)で王者レッドブルに次ぐ2位(2022シーズンは7位)につけ、大躍進している。

オーナーのローレンス・ストロールは「ホンダはグローバルモータースポーツ界の巨人だ」と称え、ホンダとのパートナーシップが「アストン・マーティンF1を、世界タイトルを取れる、トップチームにするための最後のジグゾーパズルのピースになる」と強調する。

20年の撤退宣言は脱炭素が理由

ホンダは1964年に初めてF1に参戦してから撤退と再参戦を繰り返してきた。2020年10月には、2015年からの第4期の「参戦終了」を発表。2021年シーズンを最後にパワーユニット(PU)供給によるF1での戦いに幕を閉じていた(2025年までレッドブルに技術支援を継続)。

2020年の会見では当時の八郷隆弘社長が「開発リソースを環境分野に傾けるべきだと判断した」と説明。自動運転技術に加えて、カーボンニュートラルに向けた電動車技術など広がり続ける研究開発競争を勝ち抜くには経営資源をF1に割く余裕がないという理由で、将来的な復帰も「難しい」としていた。

F1はホンダにとって特別な意味を持つ。第1期の活躍で自動車メーカーとして自立する自信を得た。第2期には、1988年に年間全16戦中15勝を打ち立てるなど、世界に技術力をアピールした。1勝と低迷した第3期を経て、第4期は当初苦戦したものの、2021年にはPUを供給するレッドブルのマックス・フェルスタッペンがドライバーズチャンピオンに輝いた。

それだけに4度目の撤退を惜しむ声も多く上がっていた。撤退宣言からおよそ2年半での方向転換であり、実に5回目の参戦宣言である。冒頭のような期待と戸惑いが交錯するのは仕方がない。

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