ダイハツの社員がレース参戦で得た衝撃的な経験 15年の空白を経てクルマづくりに必要な手段にも
昨年11月末に鈴鹿サーキットで開催されたスーパー耐久シリーズ最終戦に、ダイハツ工業の面々が訪れていた。ダイハツとモータースポーツ。その組み合わせが、あまりしっくりこないという人は少なくないのではないだろうか。それも仕方がない。実はダイハツは2008年をもってすべてのモータースポーツ活動から撤退していたのだから。
実はそのダイハツが昨年、ひそかにモータースポーツに帰ってきていた。ダイハツ車のチューニング、スポーツパーツなどを手がけるD-SPORTとのコラボレーションとなるD-SPORTレーシング ラリーチームとして、全日本ラリー、TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジなどへの参戦を開始したのだ。ドライバー、コドライバー、監督はいずれもダイハツ社員という布陣。実際、社内では本当にこの3人だけでじわりと活動が始まったのだという。
コペンGR SPORTがクラス優勝
そして彼らは見事、結果を残してみせた。昨秋、ついに開催が実現したWRC(世界ラリー選手権)のシーズン最終戦、ラリージャパンに出場したダイハツ コペンGR SPORTは見事完走し、クラス優勝を勝ち取ったのだ。WRCに軽自動車が参戦し完走したのは、実は1993年のサファリラリーでのスバル ヴィヴィオ以来だったというから、これは十分に快挙と言っていいだろう。
「モータースポーツを起点としたもっといいクルマ作りを、ダイハツとしても推進して、人材育成にも活用していきたい。また、軽自動車はダイハツの1つのシンボルでもあるので、軽自動車でもモータースポーツができるんだということも発信していきたいと思っています」
そう語るのは件の3人のうちの1人、コーポレート統括部長の井出慶太氏。スーパー耐久シリーズの「ST-Q」と呼ばれるカテゴリーには、トヨタの水素エンジン車をはじめ、自動車メーカー各社のさまざまな先行開発車両が参戦して盛り上がりを見せている。すぐにここに参戦というわけではないが、ダイハツとしてはモータースポーツ復帰の経緯と、その意図をこの場で説明に来たというわけである。
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