ダイハツの社員がレース参戦で得た衝撃的な経験 15年の空白を経てクルマづくりに必要な手段にも

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「トヨタグループのモータースポーツの入り口として、ダイハツがお役に立てるかたちができるのではないかということです。また、ラリーだけではなくサーキットという舞台についても考えなければいけないかなと思っています」(井出氏)

実は近年、サーキットレースのエントリーの1つであるワンメイクレースのTOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup(ヤリスカップ)は、出場希望者殺到で決勝に出られないクルマが何十台も出る状況だ。たとえば、軽自動車でワンメイクレースができれば、そうした層のいい受け皿になるだろうし、何よりダイハツがやるにふさわしいのではないか。もちろん、すぐにそれが実現できるわけではないけれどと前置きしながら、井出氏はこのように話していた。

ファンを喜ばせ、間口を広げる

「軽自動車って地方だったり女性だったり、皆さんにご愛顧いただいているんです。そういった方も参加できるような機会の提供ということでいくと、軽自動車のワンメイクというのはいろいろと魅力は発信できるのかなと思ってます。スーパー耐久のようなレースにいきなりというのは難しいですが、中期的には、軽自動車にも技術の実験場としてのこういう場があっていい。たとえばスーパー耐久の弟分みたいなものがあっても……今はアイデアをいろいろと相談させていただいているところです」(井出氏)

全日本ラリーやWRCでの活躍はダイハツのファンを喜ばせるに違いないし、間口が広がって日本のモータースポーツの裾野がさらに充実していくことになれば、言うことはない。しかも、それを含めたモータースポーツ活動が、市販車の進化につながるならば、ユーザーにはメリットばかりだし、カーボンニュートラルへの貢献にもなる。つまりダイハツのモータースポーツ活動の充実は、誰もがハッピーになる話なのだ。2023年、そしてそれ以降の飛躍に期待したい。

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島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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