ランボルギーニが売れている。昨2019年は、全世界で8205台という年間販売台数の歴代新記録を達成した。前年比で43%増もの健闘ぶりだ。ハイパフォーマンスカー業界の王者であるフェラーリは昨年、1万131台というこれまた歴代新記録を達成しているが、ランボルギーニもその数字に肉薄してきた。
その内訳はV10エンジン搭載の「ウラカン」が2139台、V12エンジンの「アヴェンタドール」が1104台、そしてSUVの「ウルス」が4962台だ。社のマネージメントが何回となく移り変わり、厳しい経営環境にあった過去が信じられない好調ぶりである。
中でも、ウルスの販売台数が全体の半分以上を占めているところに注目したい。ランボルギーニがライバルであるフェラーリと異なったスタンスをとっているのは、このSUVに対する戦略だ。
頑ななフェラーリ、柔軟なランボルギーニ
フェラーリは、あくまでも純粋なスポーツモデルにそのアイデンティティを置き、今までSUVはおろか4ドアモデルすらラインナップに載せたことはない。あくまでもフェラーリは非日常の存在であるという、徹底したブランディングに徹してきた。
一方、ランボルギーニもスポーツカーとしてのDNAにこだわりを持ってはいるものの、フェラーリよりは柔軟性があった。
クライスラー傘下にあった時代には、クライスラーのセダンにランボルギーニ・バッジを付けるというプランも存在したし(これは当時クライスラーのトップであったリー・アイアコッカお得意の手法だったが、周囲の猛反対で撤回した)、近年も4ドアのコンセプトモデル「エストーケ」を発表している。
さらに1970年代にさかのぼれば、ミリタリービークルを起源とする大排気量の豪華SUV「LM」シリーズをラインナップに入れていたぐらいだ。
フォルクスワーゲングループ(アウディ傘下)に属するランボルギーニには、SUVの開発にまつわる十分なリソースが存在する。グループ内にはポルシェやベントレーをはじめとするハイパフォーマンスSUVの先輩たちがすでにたくさん存在した。そんなワケで、その技術やコンポーネンツを最大限に活用し、ランボルギーニならではの個性的SUVを開発することができたのだ。
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