ダイハツの社員がレース参戦で得た衝撃的な経験 15年の空白を経てクルマづくりに必要な手段にも
「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」は、親会社であるトヨタが今、まさに実践しているところである。ダイハツとしても、マーケティングなどを目的とするのではなく純粋にクルマを進化させていくための手段として、モータースポーツを活用するという機運が、ようやく生まれてきたわけだ。
冒頭に記したとおりこれまでのダイハツには、そうしたイメージは希薄だった。15年の空白があるだけに、それは社内的にもそうだろう。しかし活動を復活させると、じわじわとそれが社内に浸透し、意識の変化が起きてきたという。現場には、仕事抜きで手伝いに来るエンジニアが増えてきた、などといったことが昨年を通じて、徐々に起こってきたのだそうだ。
「全日本ラリーで、コペンのブレーキの課題が見えてきたんです。それを改善しようよということでメカニック、エンジニア、技術者みんなで(部署を横断して)ワイガヤして、その改善策を話し合ってということをやったんですが、その経験がダイハツの設計者にはすごく衝撃的だったようです。改善してちゃんとタイムがあがって完走してと、そういう経験が全社の啓発につながっているのかなと思います」
市販車とは違った仕事の回し方が刺激になる
そう言うのは、まさに全日本ラリーなどでコペンのステアリングを握る社員ドライバー、国内商品企画部の相原秦祐 副主任。モータースポーツの現場では、担当ごとの縦割りで、時間をかけてじっくりと……などと取り組んでいる場合ではない。そして結果はタイムや順位として明確に表れる。それがすべてというわけではないが、数年に1度のモデルチェンジごとにクルマを改良していく市販車とは違った仕事の回し方が、刺激になることは間違いない。それは、まさに親会社トヨタの近年の活動が、よく表している。
「これまではなかなか人を割けない部分もありましたが、限られた時間の活動でいいから手伝ってくれと社内で声をかけたら、11名が手伝ってくれるということで、この10月から活動開始してます。たった11名ですけど、2022年はこの3人しかいなかった。モータースポーツ部というのがあったわけじゃないけど、この3人で何とか社外取締役の力を借りながらやってきたのが、ここまで来たんです」(井出氏)
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