「呪術廻戦」制作会社が挑むアニメ業界の悪習打破 MAPPAが「チェンソーマン」に100%出資した狙い

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―――企業としてどのように成長していきますか。

MAPPAは作品や会社のブランド力はあっても、企業体としての信頼はまだまだ中企業の域を超えていない。同じエンターテインメントの世界に身を置いている大手ゲーム会社とは大差がある。

自分たちが作っているものの価値を理解し、その価値を高めて自分たちの手で売るという意識を育てない限り、制作会社はずっと小さいままで終わる。

作っている人間たちに紐付いて様々なビジネスが生まれていく形になるのが良い。しかし今のアニメビジネスの図式では作っているほうが一番下だ。その図式を変えるためにどうしたら良いかを考えられる集団にならなければ未来はない。時間は限られている。

「アニメは稼げない」という悪しき風習

―――業界では制作会社の収益改善や地位向上について、諦めムードも漂っているように見えます。

それを諦めてしまうと、現状を受け入れるしかなくなる。賃金や制作環境の問題は他社から強制されているわけではなく、自分たちで生み出している部分がある。私も業界に入ってもうすぐ20年になるが、「アニメは稼げない」とか「アニメはこういうもの」とか、現状を肯定する悪しき風習が今でもある。

それはそれで一つの生き方だが、2011年設立のMAPPAがその生き方を選ぶにはまだ若すぎる。自分たちの可能性を自分たちで潰したくない。夢はでっかくて良い。自分たちの状況を悲観して何もしないということはしたくない。

――なぜ、悪しき風習が残っているのでしょう。

(現状を肯定してしまう)気持ちはすごく分かる。以前はアニメでは稼げない時代だったから、私がもっと上の世代なら諦めていたかもしれない。

今は世界中で作品を見てくれる人がいて、自分たちは恵まれている。だからこそやらなきゃと思っている。チャンスがあるうちに勝負に出ないといけない。

――アニメ業界は足元では活況ですが、今後何がリスク要因になりえますか。

直近で一番のリスクは、海外大手配信プラットフォームの動向だ。少し前はパチンコ案件が全盛期だったが、それも沈静化した。時代とともに需要は移り変わっていく。何か一つの需要に頼ってしまうのは危険で、それぞれの時代に応じて必要とされることが大切だ。

髙岡 健太 東洋経済 記者

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たかおか けんた / Kenta Takaoka

宮崎県出身。九州大学経済学部卒。在学中にドイツ・ホーエンハイム大学に留学。エンタメ業界担当を経て、現在はM&Aや金融業界担当。MMTなどマクロ経済に関心。

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