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「数学嫌い」多い日本とインドの入試の決定的な差 世界的な経営者を輩出するインド工科大学の受験

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だからこそ、インドのように、できれば高校数学で3行3列の行列を学んでおくと、大学での線形代数の学びにスムーズに接続するだろう。筆者は昨年刊行した『新体系・大学数学 入門の教科書 下』で、線形代数に続けて多変量解析の柱となる分散共分散行列の「固有値」に関して丁寧に説明したが、それは上で述べたような歯痒い気持ちを抱いていたからである。

日本の出生数とインド工科大学の受験生数は同じ

さて、上ではIITの入試に出題される数学の問題から日本の数学教育を見てきたが、それ以上に重要なことがあると考える。それは、約80万人というIITの受験生数は、ちょうど昨年の日本の出生数である。すなわち、その子どもたちが全員IITを受験するレベルの数学力をもつと、はじめて互角になるだろう。

そのように考えると、男子に関しても同じであるが、いわゆる「リケジョ」と呼ばれる理系科目に秀でた女子だけの才能を伸ばすだけでなく、数学嫌いに育った女子にも目を向ける必要があるのではないだろうか。実際、3月末に定年退職した桜美林大学リベラルアーツ学群では、文系をメインとして入学した女子が、卒業後は数学教諭として大活躍している者を何人も卒業させたことを思い出す。このように、新たな理系人材を発掘する動きが広がることを祈る次第である。

江戸時代の日本の数学レベルは世界のトップクラスであった。戦後の復興期の日本の数学教育のレベルも現在よりはるかに高く、高卒で就職する人も全員で(多項式の範囲の)微分積分を学んでいた。最近、岸田文雄首相が座長の教育未来創造会議の提言により、理系学生の割合を現在の35%から50%に高める運びとなった。筆者としてイソップ物語に例えると、現在は眠っていたウサギが目を覚ましたときである。これから国民が一丸となって努力すれば、ウサギが最後にはカメを追い抜くことも可能であると信じたい。

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