「数学嫌い」多い日本とインドの入試の決定的な差 世界的な経営者を輩出するインド工科大学の受験

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受験生数が約80万人で合格者数が1.6万人という競争率50倍の試験では、解答用紙が膨大な枚数ゆえ、採点に関して不思議な気持ちを抱いていた。案の定、2007年からのIITの入試はマークシート式になり、納得した次第である。日本の大学入試センター試験のような「JEE Main」と、日本の大学の2次試験のような「JEE Advanced」の2段階であるが、どちらも出題範囲は同じと見える。

そのマークシート式の問題は実にユニークである。たとえば、選択肢が4つあって、1つだけが正解とは限らない。簡単な例で説明すると、「2/3」が正解の場合、4つの中に「正の数」と「整数でない」があれば、その2つを挙げないと×になる。さらに、間違った選択肢を挙げると、減点される。したがって、自信のない問題では、解答欄に何も書かないで0点になるほうがよいだろう。

これは、日本の試験で、「わからなければ、とりあえず3番目にマークしておくと統計的に有利」という日本固有の定説が通用しなくなるからである。これは日本でも参考になるのではないだろうか。

インド工科大学の数学試験の中身

JEE Advancedの数学試験時間は、日本の大学理工系学部入試のそれと比べると約1.5倍の3時間あるが、問題数が相当多い。したがって、微分方程式や3行3列の行列や逆三角関数などの難しい問題でも、10分程度で解かないと時間が足りないことになる。

そのような問題をここで紹介しても多くの読者を困惑させてしまうので、手頃で易しく面白い問題1題を解答も述べて紹介させていただく。2020年に出題された問題で、せいぜい3分ぐらいで解かないと、とても間に合わないと思われる。なお、誤解を生じさせないため、問題の表現を若干修正させていただく。

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