甘くない!プロデビュー後の歌手が見る現実 「歌がうまい」だけで稼げないのはなぜか
かつては、コンテストが偉大なアーティストを次々と世の中に送り出していた。ヤマハ音楽振興会が主催していた幾つかのコンテストは、現在に続くスーパースターの系譜そのものといえる。
「ヤマハ・ライト・ミュージック・コンテスト」(1967~1971年)からは赤い鳥、TULIP、オフコース、「ヤマハ・ポピュラーソング・コンテスト」(1969~1986)からは中島みゆき、佐野元春、長渕剛、CHAGE and ASKA、「EastWest」(1976~1986年)からはサザンオールスターズ、シャネルズ、エレファントカシマシ、爆風スランプ、久保田利伸らがそれぞれ世に出た。
残念ながら、輝かしい歴史を誇ったこれらのコンテストは徐々に幕を下ろして行った。その一方で、安定的に数多くの才能を発掘してきたのは、テレビにおけるオーディション番組だ。日本では「スター誕生!」が多くの歌手をデビューさせた。1990年代には「ASAYAN」が「モーニング娘。」やCHEMISTRYらを発掘した。
「歌がうまい」だけでは稼げない現実
ただ、さまざまな方法で無事デビューを果たせたとしても、単なるスタート地点に立ったにすぎない。日本レコード協会の統計によると、2013年のデビュー歌手数は339組。そのメジャーレーベルの契約を継続するためには、数年以内に結果を出さねばならない。
いったい何組がプロとして活動し続けられるかは 不明だが、筆者の皮膚感覚だとせいぜい5%か、あるいはもっと少ないかもしれない。売れなければ契約を解除するほかない。残酷な生存競争だ。
日本レコード協会が公表している統計資料によると、シングル曲において、ソロヴォーカリスト最後のミリオンヒットは2007年の「千の風になっ て」。2008年と2009年は記録なし。2010年にAKB48が「Beginner」で久しぶりにミリオンを記録してからは、19曲がミリオンセラーとなっているものの、全てAKB48の楽曲だ。
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