歌手aikoが語る「私がほとんどコラボしない理由」 結婚しても孤独を守るaikoの流儀(中編)

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「ファンの人と結婚しました」と語っていたが、厳密に言えば、「彼は友達の友達であり、aikoのファンでもあった人」なのだという。音楽と一途に向き合い続けるaikoを心から尊敬して、今も新曲の発売をいちリスナーとして心待ちにしている人。

おそらく、彼女は今の等身大のaikoとともに、aikoが歩んできた道のりや、aikoの音楽も深く愛してくれる人と結婚したのだと感じた。これからも音楽を愛し抜き、全力で走り続けるaikoを支えてくれる人に違いない。

今日で最後かもしれない

「私が一人でいたい時間や音楽を作る時も自然に大切にしてくれます。『寝る前は人の大事な時間だから』って言って、そっとしておいてくれるんです」

大きな痛みを伴う経験の後に訪れた、新しい幸せは、彼女に何をもたらしたのだろう。

「いろんなことがあって、前向きになりました(笑)。私は病んでたわけじゃないけど、生まれながらに強烈な不安症やし、考えすぎる性格です。そこが変わったわけじゃないけど、家族や、スタッフもそばに信頼できる人がいるおかげで、負の思考の連鎖がなくなって、闇落ちしづらくなったというか。ありがたいです。人は人で変わるんですよね」

だからと言って、自分の中の不安や孤独感が完全に無くなったかといえば、それは絶対になくならないのだとも。

「これはもうサガですね。たとえ結婚して一緒に住んでいても、今日で最後かもしれないと真剣に思うんです。毎晩、眠る前に『もう会えないかもしれない』と不安になってしまうから、おやすみ前には全力でバイバイしてから眠ります(笑)」

(この記事の後編はこちらから)

この記事の前編:デビュー25年、歌手aikoが「まだ序盤」と語る真意

 

芳麗さんによる連載9回目です
芳麗 文筆家、インタビュアー

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よしれい / Yoshirei

NHK山形放送局のキャスター業を経て文筆業に。女性の生き方をメインテーマに、雑誌、書籍、Webなど数多くの媒体で執筆。人物を掘り下げたロングインタビューを数多く手がけるほか、恋と愛、生活、カルチャーなどにまつわるコラムも好評。著書に『3000人にインタビューして気づいた! 相手も自分も気持ちよくなる秘訣』(すばる舎)、『ラブ・リノベーション』(主婦の友社)など。音声番組Voicy「芳麗の女と文化の話café」では、本連載に登場した方々とのリラックストークも。日々の生活や取材活動から、生きづらい時代を“幸せに生きるヒント”を多面的に探究して発信中。HPはこちら

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