300人待ち「猫専用アパート」人も幸せな4つの工夫 家の環境が「不幸な猫」を生み出してしまう

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●人間のためのエスケープ・ゾーン

室内飼いの猫が外に飛び出すことはめったにありませんが、保護したての野良猫はチャンスがあれば外に飛び出そうと狙っています。そこで、「Gatos Apartment」は二重ドアを採用。玄関と居室の間にドアを設置して、猫の脱出防止を図っています。

このドアにはもう1つ、猫が入れない、人間のためのエスケープ・ゾーンをつくる効果があります。猫を飼っている人の悩みといえば、猫の毛がどこにでもつくということでしょう。

そこで、たとえば、上着はこのエスケープ・ゾーンに掛けておくと、猫の毛がつくのを避けられます。お米や、猫の砂やキャットフードなど、猫にさわってほしくないものの保管場所にしている人も。中には、猫に邪魔されず、ゆっくりマンガを読むためのスペースとして使っている人もいるとのことでした。

●猫の運動と家具の関係に配慮

猫の運動のためにキャットウォークやステップを付けたい、下から猫の肉球を眺められる透明板のキャットステップを付けたいという人は少なくありません。

ただ、がっちり付けてしまうと、それらの設備が家具の配置の障害になることもあるものです。「Gatos Apartment」では、たとえばキャットウォークの終わりの部分だけを設置。そこに登るステップには、その下に置いた家具などを使うことを想定しています。

「猫、住人、大家の三方よし」が広がる世の中に

木津さんは、「猫と一緒に快適に住める賃貸物件を提供すること」からはじまりましたが、やがて、「野良猫の殺処分をなくしたい。そのためにも、1匹でも多くの保護猫が飼い主にめぐりあい、幸せに暮らせる場所を提供したい」という思いも強く抱くようになったことから、猫専用物件のプロデュース業も開始されています。

『高い家賃なのにいつも満室になる人気物件のつくり方 一芸物件』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

私としても、「猫、住人、大家の三方よし」というこのモデルがもっと多く広がってほしいと思っています。しかし、賃貸事業をはじめるというのは、生半可なことではないです。

はじめるにしても、目的意識がはっきりとしていない人が意外に多い印象なのですが、ただ猫が好きだからとか、はやっているから猫専用物件をつくりたいでは不十分だと思います。

「だれのため」「なんのため」に賃貸事業をはじめるのかということを考えられる人に、自分だけの「一芸物件」をつくりあげてほしいと思っています。

井上 敬仁 一芸物件専門家

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いのうえ たかひと / Takahito Inoue

株式会社未来人材キャリア開発代表取締役。1967年生まれ、宮崎県宮崎市出身。九州大学大学院総合理工学部卒業後、1992年、株式会社日産自動車入社。2004年より不動産投資を開始し、2016年専業大家として独立。自身が所有するアパートに住む大学生からの就活相談をきっかけに、2019年国家資格キャリアコンサルタント資格を取得。2021年にプロティアン・キャリア協会メンター資格認定を機に、同年、株式会社未来人材キャリア開発を設立。「キャリアカウンセリングつき賃貸」として一芸物件を売り出し、満室経営を実現。現在は、アパートを6棟運営、学生の就活支援などにも従事している。

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