「バフェットの変節」に見る投資必勝法の極意 真似をしていた「なりきりバフェット」は沈黙

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問題は、「自分の頭で理解できる株を買う」という方針です。周知の通り、総合商社は日本にしか存在しない特殊な業態です。輸出入だけでなく、近年はエネルギーや小売などにも参入し、様々な分野に事業領域を広げています。バフェットは、本当に総合商社のビジネスを理解しているのでしょうか。

市場関係者は、「バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイは色々な事業に投資をしており、総合商社と似ている。だからバフェットは総合商社のビジネスを理解している」と説明しています。しかし、中で働いている社員ですらよく理解できていないかもしれない総合商社のビジネスを、アメリカの投資家が理解しているというのは、ちょっと説得力がありません。

実際には、バフェットは、総合商社のビジネスをあまり理解していないと思います。「自分の頭で理解できる株を買う」というのは、少し前までの運用方針で、もはやあまりこだわっていません。

昔のバフェットとはすっかり別人に

総合商社株だけではありません。近年バフェットは、従来の運用方針へのこだわりを捨てて、大胆に変化させています。きっかけは、2000年前後にIT関連株が急騰したITバブルでした。

ITバブルのとき、バフェットは「私はITを理解できない」としてIT企業株に投資しませんでした。そのため、バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの運用成績は他のファンドに大きく見劣りし、市場では「バフェットの時代はもう終わった」と囁かれました。

消費関連株の限界を知ったバフェットは、「自分の頭で理解できる株を買う」という方針を緩和し、IT企業株への投資を始めました。中でも極め付きは、2016年から投資を始めたアップルです。いまではバークシャー・ハサウェイの資産全体の約44%をアップル株が占めています。

アップルは、経営危機に陥った1990年代半ばはバリュー株でしたが、2016年の時点ではPBRもPER(株価収益率)も高いグロース株(成長株)です。バフェットは、もはやバリュー投資家ではなく、どちらかというとグロース投資家に分類できるのです。

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