「バフェットの変節」に見る投資必勝法の極意 真似をしていた「なりきりバフェット」は沈黙

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いったん成功した投資法も長続きはしない(写真:Fast&Slow/PIXTA)

アメリカの著名投資家ウォーレン・バフェットが来日し、5大総合商社など日本株の買い増しを検討していると表明しました。世界一の投資家が日本株に注目しているというのは、日本の市場関係者や投資家にとって朗報です。

ただ、総合商社への投資は、過去のバフェットの運用方針からやや逸脱していることから、「いったいどうして?」と戸惑う声も一部にあります。今回は、日本でも「投資の神様」として信者が多いバフェットの近年の運用方針の変化を確認しましょう。

バフェットは総合商社を理解しているのか?

バフェットといえば、バリュー株(割安株)の超長期投資。コカ・コーラやジレットといった自分の頭で理解できる消費関連株に狙いを定め、リーマンショックなどの混乱で株価が一時的に大きく下がったときに思い切って買う。そして、一度買ったら、売却せず保有し続ける――という運用方針で知られています。

バフェットは11歳で投資を始めて、80年以上も一貫してこの運用方針を堅持してきたといわれます。そして、驚異的な運用実績を上げ続け、2007年には長者番付で世界一になりました。

ただ、このバフェットの運用方針からすると、2020年8月に開始した日本の総合商社株への投資には、少し違和感があります。日本の総合商社株は、バフェットが最初に投資した2020年8月にはPBR(株価純資産倍率)が1倍割れで、資産価値に比べて割安な状態でした。「割安株を狙う」というバリュー投資の基本方針を満たしています。

当時は、コロナで世界中の株価が急落したいわゆるコロナショックからの回復過程でした。ピンポイントではありませんが、「混乱で株価が一時的に大きく下がったときに買う」という方針もほぼ満たしています。

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