「バフェットの変節」に見る投資必勝法の極意 真似をしていた「なりきりバフェット」は沈黙

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また、「一度買ったら、売却せず保有し続ける」という方針も、すでに撤回しています。バークシャー・ハサウェイの資産全体のうち、20年以上保有する長期保有株の割合は20%以下に低下しています。

さらに、金について、バフェットはかつて「金には金利もつかず、配当もないため、投資する意味はない」と明言していましたが、2020年にカナダの金採掘企業バリック・ゴールドに投資しました。なお、この投資は失敗に終わり、わずか半年で損切りしています。

このように、近年バフェットは環境変化に対応して色々と試行錯誤し、従来の運用方針を大きく変えました。いまや、我々がイメージする昔のバフェットとはすっかり別人になっています。

投資の必勝法は存在するのか?

昔のバフェットの投資法は、「素人の俺にも簡単に真似できそう」ということで、バフェットを信奉する個人投資家が世界中にたくさんいます。そのバフェット信者は、「バフェットよ、いったいどうしたの?」と戸惑っています。しかし、個人的には、近年のバフェットの“変節”を2つの点で嬉しく思っています。

一つは、成功者が成功体験を捨てて変節したという事実です。バフェットは世界一の金持ちになり、すでに92歳という高齢です。そのバフェットが、IT革命・金融危機・リーマンショック・コロナといった環境変化を受けて運用方針を変えたのは、驚きです。

人は過去の体験に囚われて、なかなか自分のやり方を変えることができません。とくに大きな成功体験があると、それにすがって生きていこうとします。そして、大きく環境が変わると、成功体験が通用しなくなり、成功は一時的なものに終わってしまいます。

投資家の場合、ある投資法でちょっと成功すると、ブログで自慢話を披露したり、「これが必勝法だ!」と投資本を書いたりします。しかし、企業も市場も変化するので、ある環境では成功した必勝法も、そんなに長続きしません。

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