「圧倒的に信頼される人」が相手に使わない言葉 科学が証明「モチベーションを高める」伝え方

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厳密にはこのとおりでなくても、 たとえばこんな言葉でも同様の効果がありました。

「でも、あなたのお好きにしてください」

「でも、最後はあなたが選択してください」

「でも、あなたに合ったタイミングで決めてください」

この方法は「But you are free」の頭文字をとって、BYAF法と呼ばれているものです。

フランス・ブルターニュ南大学での実験でも、この効果が実証されています。

まず、普通に寄付を求めた場合、寄付に応じた人は10.0%にすぎませんでしたが、声かけの最後に「寄付するのもしないのもあなたの自由です」と言うと、47.5%もの人が寄付をしました。

つまり、5倍近く協力的になったのです。

これには、人間の「自律性(自分の行動を自分でコントロールしたいという性質)」が働いています。

一方的に自分の希望を押し付けるのではなく、相手を信じ、その意思を尊重することで組織にとっていい結果が得られるといえます。

自然と相手に責任感を持たせる「ほんのひとこと」

お次は、相手が「わかりました」と言ってくれたけれど、どうも動きが鈍い場合。

どんなにわかりやすく説明していたとしても、相手が動いてくれるとは限りません。

そんなときは、この方法を試してみてください。

それは、イギリスの医師による研究チームが、予約の「すっぽかし」を減らす実験で導き出した方法です。

予約のすっぽかしが多くて困っていたある病院で、予約の電話の際、切る前に患者さん自らに、日時を「復唱」してもらったのです。

たったこれだけのことなのですが、すぐに結果が出ました。すっぽかしが約3%減ったのです。

たかが3%でも、従来のすっぽかしによる損失(8億ポンド)から換算すると、約2400万ポンド(約40億円)の規模でした。

そこで今度は、窓口で予約をとる際、次回の予約日時を患者さん自身に書いてもらうようにしました。

すると効果は劇的で、なんと、前6カ月と比較して18%もすっぽかしが減ったのです。

これは全体の損失から換算すると、約1億4400万ポンド(約239億円)!
まったくコストをかけずにこれだけの効果を得られたのですから、驚きです。

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