「少し食べてもお腹が一杯になる」という違和感
「下腹が少し出ているけど、便秘のせいかな」
「少し食べるとお腹がすぐ一杯になるのは、アラサーだからかなぁ」
WEBデザインや広告の制作会社に勤務していたふじあこさん(仮名・当時27)が、当初おぼえた違和感はごくささいなものだった。
しかし、下腹部の硬いしこりに触れたときにマズイと思い、自宅近くの消化器内科医院に行った。2019年3月、入社7年目のこと。精密検査を勧められて大学病院で4月に検査手術を受けると、卵巣がんで大腸への一部転移も見つかった。あっという間の展開だった。
「それまでは徹夜明けで出社してもぜんぜん平気で、食欲も旺盛でした。私は体が強いんだと思い込んでいたので、ショックでしたね」(ふじあこさん)
卵巣や子宮体がんは、早期の段階では往々にして自覚症状がとぼしく、違和感をおぼえた時点では病状が進行していることが多い。卵巣と子宮の摘出を伝えられた彼女の絶望は大きかった。
しかも手術前に、がんが大きくて腸との癒着部分が多ければ、人工肛門の増設も同時に行う可能性があると、医師から同意書へのサインを求められた。
人工肛門(ストーマ)とは、腸の一部を切り、皮膚に穴を空けて体外に出し、プラスチック製のストーマ袋とつなげて排便する仕組み。腸の途中で排便するので肛門は使わなくなる。ふじあこさんは当時を回想する。
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