「人工肛門ライフ」を漫画で描く31歳彼女の人生 卵巣がん経験で「悲観的だからこそ楽観的になれた」

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2020年6月7日の「あこにっき」の表題は、「がんになって不安になったこと:結婚できる?」。結婚しても子どもは産めないし、裸になったら傷跡は酷いし、オストメイト(人工肛門や膀胱を利用している人の総称)で腸は出てるし……と、漫画の前半は悲観的な感情がつづく。

ところが、後半では彼女のきっぱりとした自己肯定へ一転する。

「卵巣がんの患者会に参加した際、皆さんが一番悩まれていたのが恋愛や結婚のことでした。ですから、私なりに整理した気持ちを描いておけば、誰かの役に立つかもしれないと思いました」(ふじあこさん)

最後にはギャグっぽいコマでバランスをとる

彼女のブログの読者は、同じ病を患う人が多かった。ちょうど職場復帰を果たして1人暮らしを再開する中で、病気以外では「私は何も変わっていない」と実感できたという。

病気や障がいをマイナスととらえる人もいれば、そうとらえない人もいる。だから私と過ごした時間をどうとらえるかも相手次第だと描いて、漫画はこう終わる。

相手次第なら私はネガティブに考える必要はない
変わらず堂々と生きようと思う
結局、こんな私じゃダメかも…と自分のことを一番差別していたのは
自分だったのかもしれない‥

 

「『変わらず堂々と生きようと思う』だけだと、『きれいごとを言うなよ』とか、なんか偉そうに見えるかもしれないと思って、ギャグっぽいコマを最後に加えました。バランスをとりたかったんです。もし、『ただの自分語りじゃん!』と批判されても、私1人がけなされる分には誰も傷つけませんし」(ふじあこさん)

彼女がたどり着いた再発見は今、病気の有無をこえて、わたしやあなたの心の奥のやわらかいところにしっかりと響く。

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荒川 龍 ルポライター

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あらかわ りゅう / Ryu Arakawa

1963年、大阪府生まれ。『PRESIDENT Online』『潮』『AERA』などで執筆中。著書『レンタルお姉さん』(東洋経済新報社)は2007年にNHKドラマ『スロースタート』の原案となった。ほかの著書に『自分を生きる働き方』(学芸出版社刊)『抱きしめて看取る理由』(ワニブックスPLUS新書)などがある。

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