GW後に職場に蔓延「5月6月病」すぐできる対策 挨拶に「相手を認めている一言」を付け加える

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ただし、注意点があります。昔から、上司が関わらなくてはならない部下の課題には、対象が明確で、どんどん解決していく「物理的課題」と対象は抽象的で、解決が難しいのでゆっくりと適応していくしかない「適応課題」の2つがあります。キャリアに関する話は、適応課題です。

上司の不用意な「問題ないよ、順調だよ」というかけ声、根拠のない「がんばれば大丈夫」という励まし、無責任な「辞める必要ない」という結論。これらは、適応課題の代表格であるキャリアの問題にはことごとく通用しません。

キャリアの悩みを上司が間違って物理的課題として取り扱い、解決しようとすればするほど、複雑にこじれていきます。

解決できない、割り切れない側面があることを知ったうえで、結論を急がずに、関わってみてください。

そして、いざというときにキャリア観をもって部下と関わるためにもキャリアについて理解しておく必要があります。

キャリアとは人が「生まれてから死ぬまでの期間を通じて成すこと」を示す言葉です。

そこには、働く時間も、休みの日に自由に振る舞う時間も、さらには家族や大切な人と過ごす時間も含まれています。人は、自身の存在をオリジナルでユニークで意味があるものだと考えているんだということを忘れてはいけません。

5月病、6月病に負けないための3つの視点

人生100年時代に入り、「自身が何者であるか」を考える時間が長くなった今、自身のキャリア成長に、自らが覚悟と責任を持ち、舵取りしていくことによって、自分らしいキャリアを描くための思考法の重要性が高まっているのです。そうしたなかで、皆さまには次の3つの視点を持つことをおすすめします。

『社員がやる気をなくす瞬間 間違いだらけの職場づくり』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

①人生を通じてどんなキャリアを歩みたいか、理想的な働き方はなにか

②これまでを振り返って生かせること、できることはなにか

③実現に向けて取り組むことはなにか

よい職場風土づくりに取り組む者として、自らに対してはもちろん、部下や同僚と関わるときにも大切にしてください。

上司部下や同僚と、お伝えしてきたような関わりあいをしていれば、仕事上のささいなやり取りが「やる気をなくす瞬間」から「自信を持てる瞬間」へと変わっていきます。それがひいては、5月病・6月病の元ともなる疲れやストレスをも自然に解消に向けてゆくことにもなるのです。

中村 英泰 職場風土づくり 代表取締役

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なかむら ひでやす / Hideyasu Nakamura

株式会社職場風土づくり代表。ライフシフト大学特任講師。1976年生まれ。東海大学中退後、人材サービス会社に勤務したのち、働くことを通じて役に立っていることが実感できる職場風土を創るために起業し、法人設立。年間100の研修や講演に登壇する実務家キャリアコンサルタント。

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