女子大生になった小倉優子さん"再評価必至"の訳 なぜアンチを封印し、好感度を爆上げできたのか

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しかし、小倉さんはグラビアアイドルや「こりん星のりんごももか姫」のころは、そのほとんどが男性ファンでしたが、結婚後はファン層が一変。女性から親近感を抱かれ、共感を集めるママタレになるなど、セルフプロデュースやリブランディングに長けた人です。

その意味で今回の大学受験と大学生活の発信は、落ちた好感度を再び上げるセルフプロデュースであり、リブランディングなのかもしれません。さらにそれを「今年11月1日の誕生日で40歳」という節目のタイミングで実現させたところに、類いまれな実行力と意志の強さを感じさせられます。

大学生と接点を持てるアラフォー

最後に今後、小倉さんが活躍の場を増やしそうな背景を挙げておきましょう。

2020年春にテレビ業界が視聴率調査をリニューアルして以降、主に13~49歳をコア層と呼び、そこに向けた番組制作を進めるようになりました。さらに、「やはりスポンサー企業が求めるのはその層だろう」という傾向は他メディアにも広がっています。

しかし、コア層との接点を持ち、心をつかむのは難しく、メディアとの橋渡しをする人が必要。その点、小倉さんは30代・40代の気持ちが自分事としてわかるうえに、同世代からの支持が厚く、さらに大学生になったことで10代・20代との接点が生まれ、彼らの代弁者にもなれるなどの可能性が生まれました。

とくにコスパ意識の高い10代・20代の獲得はメディアの至上命題だけに、彼らとの橋渡しができる経験豊富なアラフォーが重宝されるのは当然の流れ。テレビ業界で言えば、“ママタレ兼現役大学生タレント”として、情報番組のコメンテーター、トーク番組の出演者、クイズ番組の解答者などのオファーは間違いなくあるでしょう。

家事や子育てを重視し、大学生活とも向き合う小倉さんが、どれだけ仕事のオファーを受けるかはわかりませんが、ママタレの枠を超えたハイブリッド女性タレントという位置づけになることは決定的。また、少子高齢化に悩まされる教育関連ビジネスの人々も、小倉さんの存在を追い風に、リスキリング、リカレント教育、生涯学習の普及を図ろうとするのではないでしょうか。

私は小倉さんがグラビアアイドル時代、ママタレになってからの2回取材した経験がありますが、言葉に迷いのない芯の強そうな人という印象が残っています。つらい時期を経たことで得た「子育て中の今こそ学んで、子どもたちに伝えていきたい」という姿勢が変わらない限り、小倉さんへの好感度は下がらず、引く手あまたの状態が続いていくのではないでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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