iPhoneをハイレゾで聞く携帯アンプの実力 米オッポの高級オーディオに要注目

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”ヘッドフォンアンプ”という商品は、スマートフォンユーザーにとっては余計なお荷物だ。スマートフォンには、もともと音楽プレーヤーとしての機能が備わっており、音楽を聴くだけであれば、わざわざHA-2を持ち歩く必要はない。

それでもHA-2を使うのは、少しでも良いサウンドで音楽を楽しむためだ。なるべく邪魔にならないよう、薄く仕上げた上で重ねても深いな感触にならないよう配慮した上で、さらにモバイルバッテリーとしても使えるようにすることで、”もう一個を荷物に加える”モチベーションにしている点は高く評価したい。普段から薄型モバイルバッテリーを持ち歩いている人ならば、それを175グラムの本製品と置き換えれば外出先での高音質を得られる。

同時発売のヘッドフォン「PM-3」にも注目

さて、本稿はHA-2がテーマだが、HA-2と同時発売されたPM-3にも触れておきたい。密閉型のポータブルヘッドフォンで、昨年、同社が発売した二つの高級ヘッドフォンの小型版ということになる。

PM-3はモバイル環境でも充分な音量を確保できる

同社は理想的なダイアフラム(振動板)の駆動が実現できる平面磁界駆動型ドライバを、フラッグシップのPM-1および下位モデルのPM-2に採用してきた。

この方式は能率が低く(音量確保が難しくアンプへの負担が大きい)、また音質面でも低域の量感を引き出すのが難しいのだが、そこを上手に作り込んでいたのが印象的だった。

対してPM-3では、ポータブル型のアンプでも充分な音量を確保できるよう、磁気回路をダイアフラムの前後に2系統配置したという。このためモバイル環境でも充分な音量を確保できている。

しかし本機の注目点は音質。PM-1よりもずっと安価なPM-3はコンパクトで軽量、装着感が良い密閉型ヘッドフォンだが、その分、ダイヤフラムは小さく低域再生では不利となる。常識的には”下位”モデルなのだが、実は中域から上の質感、繊細さはPM-1に勝るとも劣らない。

開発者自身が125Hz以下の低域で、音を”作った”というように、中低域にやや盛り上がりを感じるが、さほど恣意的というほどではない。低域はローエンドの伸びがないものの、中低位機の程よい演出がポピュラー系の楽曲では心地良く感じるだろう。

高忠実な再生という意味では、より大きなドライバユニットを持つ上位モデルには敵わないが、ポータブル製品であること、中域から上にかけての豊かな表現力を考え合わせると、ほとんどが自宅での利用という場合でも、あえてPM-1/2ではなくPM-3をを選ぶ人もいるかもしれない。

同時発売のHA-2との組み合わせは良好で、PM-3の良さをHA-2がよく引き出してくれる。HA-2にはアナログ回路で構築した低域ブースト機能が盛り込まれているが、試したところPM-3との組み合わせで開発したのではないか、と思えるほどのマッチングの良さがある。試聴の機会があれば試してほしい。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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