担当者に聞いたところ、スマートフォンと重ねて使うことを意識し、薄く仕上げることに力点を置いてデザインしたとのことだ。厚さは12ミリしかなく、縦横は68×157ミリ。これはiPhone 6と同サイズだ。音量ダイヤルは電源兼用だが、オフ位置へのクリック感や強さ、ダイヤルを回す際の質感などにも適度な重みが加えられており、アルミや革のような外装だけでなく、操作した際の”感触”にこだわっていることを窺わせる。
同社の伝統に則って、内蔵するDAコンバーターチップにはESS Technology製のハイエンドシリーズ「SABRE32 Reference」からモバイル向け最上位の「ES9018K2M」を採用した。本機が4万円そこそこの価格であることを考えれば異例の採用だ。
音質は開放型ヘッドフォンの「シュア SRH1840」および、ポータブルイヤホンの「AKG K3003」を用いて確認した。据え置き型ヘッドフォンアンプの使用を想定するSRH1840でも不足ない駆動力があるが、印象的なのはK3003との組み合わせだった。
K3003は大変に高性能なイヤホンだが、接続するアンプの癖が強まる傾向があり、高域にノイズや歪みなどの癖が潜んでいると、耳に刺さるような音が出てくる。しかし、HA-2との組み合わせでは低域から超高域まで濁りを感じさせない。シャープな音像と高い解像度に加え、音場を埋める空気の表現がきめ細やかだ。低域の程よいボリューム感とともにバランスの良い音を引き出せている。
高価なDAコンバータに頼り、質感の高い外装で高級感を演出しただけの製品ではなく、意図する音質へと作り込まれていた。
本機はDAコンバータ兼ヘッドフォンアンプとして機能する。2種類のデジタル入力と1種類のアナログ入力があり、スマートフォンやパソコンとUSB端子から接続してデジタル再生させるのが一般的な使い方となる。
入力可能なデジタルオーディオデータは、PCM形式で384kHz/32ビット、DSD形式も11.2MHzと、現在入手出来る高精細オーディオデータをほぼすべてカバーできる高スペックだ。
iPhoneと組み合わせる場合は、LightningケーブルをHA-2のUSB A端子に、Androidスマートフォンをプレーヤーとする場合は、MicroUSBケーブルを同じくUSB A端子に接続する。パソコンの場合はMicro USBケーブルを用いて、HA-2のMicroUSB B端子に接続する。それぞれ入力はスイッチで切り替える。
ハイレゾ音源再生には、各スマートフォンごとに対応する音楽プレーヤがある。好みのプレーヤが利用可能だ。ポータブル機器ではあるが、本機の実力を考えれば、出先でのみ使うのはもったいない話で、是非とも自宅でパソコンを音楽再生に使っているなら、そこにもHA-2を接続してほしいと思う。
スペックにこだわるマニアを唸らせるだけでなく、利便性も高い。本機には3000mAhというポータブルアンプとしては大容量のバッテリを搭載し、13時間の連続使用が可能だが、同時にUSB A端子から電流を出力して接続している機器を充電することができる。
つまりモバイルバッテリーとしても使えるのだ。モバイルバッテリーとしての利便性を意識して、バッテリー残量を知らせるLED表示も装備した。本機への充電時には急速充電にも対応し、付属のUSB電源アダプタからは最初の30分で80%までの充電が行える。
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