改革できず悩む日本企業に教えたい成功9ステップ 国際競争を勝ち抜く戦闘力を上げるための処方箋
「強烈な反省論」ないし「原因ロジック」が見えたら、それに基づいて「改革シナリオ」を組み立てることになる。重要な認識として、前者を反転させたものが後者になる。
成功する戦略はつねに話が単純にできている。長い時間をかけなければ説明しきれない戦略(つまり複雑な戦略)は、劣った戦略である可能性が高い。劣っているというのは、そのまま実行しても大した成果が得られないという意味である。
劣ったシナリオは社員の「マインド・行動」にインパクトを与えることができない。それが、「説得性不足の壁」である。その壁を乗り越えるには、シンプルで強力なシナリオが提示されなければならない。しかし皮肉なことに、それが鋭く書かれていれば、逆に社員の心に猜疑心や不安を呼び起こす面もあるのが現実だ。そこで大切なことは、
② 分かりやすいストーリー性を持っていること
③ 改革リーダーが「熱い語り」をもって不退転の姿勢を示すこと
第5ステップのシナリオ作りと並行して、第6ステップとして一連の「決断」が次々に下されていく。それで改革の切り口、リスク、実行順序、時間軸など全体ストーリーが固まっていく。
ここには「決断力不足の壁」が隠れている。十分な情報が得られていない(すなわち第4、5ステップの作業が甘い)と感じるとき、人は決断に迷う。あるいは、その決断で自分の立場が危うくなる恐れがあるときにも、決断力は鈍る。また、時間軸感覚が甘いと「まだ決めなくてもよいだろう」と先延ばしの態度になりやすい。
改革案は最後に社長や取締役会に提出され、会社としての「決断」が下される。けれども、それは形式的な手順にすぎない。改革の成否を決定づける実質的な決断のほとんどは、改革チームのプランニング段階で下される。
つまり、シナリオ作りと決断は同時並行的に進むのである。トップが改革リーダーの真の決定者としての役割を果たすつもりなら、きれいに整理された案が上がってくるのを待っていてはまずい。プランニング段階で自ら作業に入り込むことが不可欠なのである。私は、それを決定権限者による「生煮え状態での検討参加」と呼んでいる。
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