改革できず悩む日本企業に教えたい成功9ステップ 国際競争を勝ち抜く戦闘力を上げるための処方箋
優秀な改革リーダーは、いつも「このままいけばどうなるか」の絵を正確に把握することに努めている。船の船長が双眼鏡やレーダーを頻繁に見るのと同じである。手ずから(ハンズオン)の行動で自ら「問題のボトム」を確かめ、この先、事態がどう推移するかを読もうとする。それによって得られる見通しのことを「成り行きのシナリオ」と呼ぶ。それが第2ステップだ。
そして、それを第1ステップの「期待のシナリオ」と照らし合わせながら、改革がうまく進んでいるかどうかをチェックする。
この先の「成り行きのシナリオ」を正確に描くことは、「いま、どこにいる」という現状把握を正確に行うことから始まる。それがうまくできない会社は「現実直視不足の壁」に行き当たっている。そうなれば、このまま進んでどうなるかの成り行きのシナリオを正確に描くことができない。考えられる原因としては、
などがある。
これらの原因は、第1ステップ「期待のシナリオ」での「具体性不足の壁」が強く作用している。前のステップをいい加減にしたまま改革を進めると、次のステップで行き詰まりの原因を増幅させてしまうのである。
第1ステップ「期待のシナリオ」と第2ステップ「成り行きのシナリオ」の説明で述べたが、第3ステップでは、両者の照合を行うことで現状がうまくいっているかどうかの判断を下す。
「このまま進めていけば成功に至る」と思えば、是正アクションは必要ないから、いまの改革行動を進めていけばいい。しかし「このままではまずい」と思えば、あなたは「切迫感」を抱く。それが、第4ステップ以降の作業をきちんと進めるための原動力になる。
現実には2つのシナリオを比べても、現状が良いのか悪いのか判断できないことが起きる。その最大の原因は、もともと2つのシナリオの片方ないし両方ともがいい加減に作られていることだ。そうなれば切迫感は生まれず、第4ステップ以降の行動は先延ばしになる。それが、組織の「危機感不足の壁」である。現実は「まずい」のだから、いずれ改革は的はずれの状態に陥って停滞を引き起こす可能性が高い。
業績不振で停滞している会社で社内の危機感が低いというのは、このステップで「切迫感」が生まれないからだ。その状態が長く続けば、その会社はこのステップで死の谷に近づいていく。
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