改革できず悩む日本企業に教えたい成功9ステップ 国際競争を勝ち抜く戦闘力を上げるための処方箋
現状に危機感を抱いた人は必ず、「どんな手を打てばいいのか?」と自問し、自然に「そもそも、なぜこんなことになったのか?」という疑問に行く。つまり、原因分析が必要になる。
それまで社内で語られてきた原因が、不振の本当の病原とは限らない。真の原因を明らかにできなければ、どこから改革に手をつけるかの判断がズレる。そうなれば、あまり本質的でない問題に改革のエネルギーを消費することになる。だから、問題の核心を正確に見つけなければならない。そこに「分析力不足の壁」がある。この壁を越えられるかどうかは二つの要素に依存する。
② 原因分析に対する「こだわり(執拗さ)」が十分にあるのか
慢性的な不振企業は第3ステップで止まっているのだから、日頃からものごとを論理的に議論し、数字を重視する気風が弱く、分析スキルを身につけた社員が少ないのが一般的である。
問題は分析能力だけではない。そもそも本質を突く情報やデータは簡単に手に入らないのだから、あきらめずに探し続ける「こだわり(執拗さ)」が重要だ。データがないと言って、あっさり諦めてはいけないのである。
分析が進み、これが問題の核心だと思えるものが見えてきたら、次にそれを人々に分かりやすく説明するために、問題をできるだけ単純化して、「原因ロジック」と呼ぶものを描く必要がある。指摘された人々からグウの音がでない形で現実を示すのである。
改革の入り方や進め方を正しく設定できるかどうかは、この作業で決まる。原因ロジックが複雑なまま改革に進むと、組織は無駄な動きが増え、勢いを失いかねない。
基軸理論を明確にすると、一貫したストーリー性が出てくる。それは第5ステップのシナリオ作りに行ってから考えるものではない。最初から核になる改革フレームワークが共有されていれば、第1~4ステップがワンセットで一気に進むのである。
苦労に苦労を重ねてグウの音を言わせない事実関係を集めて、不振事業の真の「原因ロジック」を組み立てていった結果、出上がるのが「強烈な反省論」だ。
そこでは、社員全員が「自分もまずかった」と強烈な自省の念に駆られるものが提示される。会社の痛みが個人レベルにまで分解され、両者をつなぐ「赤い糸」が見えてくる。自分の痛みをもって危機感を覚えた人々は、解決に向けた行動に協力的になる。
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