失われた30年、復活せぬ日本企業と米国の決定的差 問題にするのを避けてきた不振の最大原因とは?

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日本の東京都市景観
日本企業の戦闘力を上げる方法を解説します(写真:Ryuji/PIXTA0)
多くの日本企業がグローバル競争を強いられ、苦しんでいます。「国際競争を戦っていくためには日本の個々の企業の戦闘力を上げなければならないが、いっこうに上がっていない」と指摘するのが、ボストン・コンサルティング・グループ出身で、事業再生の専門家であり、ミスミグループ本社のCEO(現在は名誉会長)も務めた三枝匡氏です。三枝氏が日本企業を元気にする手法を解説します。
※本稿は三枝氏の著書『決定版 戦略プロフェッショナル 戦略独創経営を拓く』から一部抜粋・再編集したものです。

日本の企業組織でプロが育ちにくいワケ

アメリカ人の元気復活を駆り立てていたのは何だったか。私はその最大の要素として彼らの「プロフェッショナリズム」を挙げる。

ベンチャー・キャピタリスト、ベンチャー経営者、斬新な論理開発を行う学者やコンサルタント、あるいはバイオ産業や金融工学など先端企業を率いる経営者・学者・技術者、一気呵成の改革を目指す大企業のプロ経営者など、アメリカの新時代を切り拓いていった人々に共通していた特性は「戦略志向」「リスク志向」「プロ志向」である。それらすべてに共通した基盤として、金持ちになりたいという「マネーへの渇望」があった。

プロ人材は「個人の突出」が許されるカルチャーがあってこそ育つ。日本の組織は逆だ。

昔から今に至っても、日本の企業組織ではプロが育ちにくい。集団主義の規範を守らせることと、一流のプロフェッショナリズムを育むことは、組織論において1つの「対立概念」なのだ。しかもそこに「マネーへの渇望」を加えたら、日本の大企業でそれを満たすことは絶望的になる。

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