無事に試験に合格すると、2年以上の実務経験などを経て、公認会計士として登録できる。就職先としては監査法人や一般事業会社の財務部など。早稲田大学政治経済学部4年生の廣澤太一さんも合格後に「大手監査法人から内定をもらった」という。ほかには世界では「会計ビッグ4」といわれる、デロイト トウシュ トーマツ、KPMG、アーンスト・アンド・ヤング(EY)、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)が頂点に立つ。
また近年では、アクセンチュアなど外資系コンサルティング会社も、人気の就職先。業務のフィールドは拡大しているようだ。
「スタートアップ企業でIPO(新規株式公開)のサポートをしたり、M&Aのアドバイザーをしたりするなど、資格をベースとして幅広い職業選択ができる」と国見氏はその優位性を説く。
収入は高水準で、大手監査法人のパートナー(共同経営者)まで出世すると、年収が億に達するのは珍しくない。社会的地位も高く、若者にとっては最短距離で成功できるなど、夢のある職業かもしれない。
人気講師、トップレベル合格者はこう語る
「素早く正しく解けるように テキストで論点を学ぶこと」
国見健介/CPAエクセレントパートナーズ(CPA会計学院)代表取締役
「公認会計士の勉強は、資格予備校の利用が前提になっているので、市販のテキストが少ない。予備校の教材を使い学ぶのが一般的だ。2年で公認会計士を目指す場合、春先からだと短答式試験まで約1年半、合格すると、論文式試験まで約9カ月間ある。平均2〜3年かかる。
順番としては財務会計論から学び始め、管理会計論、暗記が求められる企業法へと移っていく。科目同士のつながりも多いから、ざっと一通り読むよりコツコツと学んで掘り下げるのが、最終的に効率的である。
公認会計士はほかの資格に比べて、過去問があまり有効でない。過去1〜2年分から雰囲気を知る程度で構わない。それよりもテキストから論点をマスターすることを重視したい。試験で簡単な問題から解き始めて、最後に難問に取り掛かると、点を上げやすいだろう」
「一日中勉強し大学3年で合格 国際的な監査にも携わりたい」
廣澤太一さん/早稲田大学政治経済学部4年
「2020年度に大学に入学したが、コロナ禍で就職活動が不安だった。専門性の高い資格が必要だと考えて、1年の9月ごろから資格予備校に通い始めた。法改正で試験の範囲や内容が変わり、自分で管理するのが大変だったので、受験生の多くが予備校を活用していることもあって、自分も乗っかった。
平日は授業があるので、電車の移動時間や、授業の空き時間も大学のそばにある予備校の自習室を使うなど、隙間時間を活用。試験の直前はほぼ一日中勉強した。とくに力を入れたのは、財務会計論と管理会計論で、苦手だった計算には時間をかけた。その後に理論科目の企業法や監査論の勉強に進んでいった。
結果的には、大学3年の2022年8月には論文式試験に合格し、晴れて資格を取得することができた。最後の1年間はアルバイトもできなかったので、学費や食費の面では親にとても感謝している。
4年生の今、大手監査法人から内定が出ており、当初の不安は解消できている。まずはその監査法人で頑張りたい。国際的な監査にも携わりたく、入社までには英語もマスターしたいと思う」
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おしょうだに・しげはる
1973年生まれ。フリーランスの編集・ライター。ビジネス全般、株式投資、FX、投資信託、クレジットカード、介護など、幅広いジャンルで取材・執筆を行っている。著書に『1万円からはじめるFX超入門』。
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