「やせられない人」は腸内環境の重要さを知らない 腸の大きすぎる影響力を知らない人は損をする

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難消化性でんぷんの測定法ができたのは最近なので、昔の人たちがどのくらい難消化性でんぷんを摂取していたかは定かではありません。ただ、現代のように炊飯ジャーや電子レンジがあって1日中温かいご飯が食べられる状況ではなかったことを考えると、今よりもたくさん冷たいご飯を食べていたことが想像できます。昔の人たちは意図せずに、腸内細菌も喜ぶ白米の食べ方をしていたことになるでしょう。

冷ますといっても、手を当てて熱を感じない程度の温度で十分です。お弁当に詰めるときや、おにぎりにするときにも冷ましますよね。それと同じ要領でいいと思います。

ことわざの「冷や飯を食う」は、扱いが悪くて冷遇されることを意味しますが、腸内細菌にとってはエサが増えて、むしろ好待遇、といえるかもしれません。

「○○だけダイエット」が腸内環境を破壊する

糖質制限をするとき、炭水化物を控える代わりに、肉や魚、卵などの動物性たんぱく質を増やすのが“王道”だと思います。

ほとんどの動物性たんぱく質は、アミノ酸スコア(たんぱく質の栄養価を示す指標)が満点で、私たちの体をつくる重要な栄養ですが、動物性たんぱく質だけとっていればいい、というわけではありません。栄養バランスが偏れば、腸内細菌はエサ不足に陥って、腸内細菌叢が乱れます。

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さらにはとりすぎによる弊害も。肉やエビ、卵、チーズなどに含まれるコリンやL-カルニチンという成分が腸内細菌によって分解されると、トリメチルアミン(TMA)という代謝物が生み出されます。そして腸管から吸収されて血液中に入りますが、このトリメチルアミンの血中濃度が高いほど動脈硬化を引き起こしたり、心筋梗塞や脳梗塞などの心疾患系の病気の一因になったりするといわれます。

コリンはビタミンの働きを助けること、L-カルニチンは脂肪を燃焼する効果があることでも知られますが、とりすぎは禁物ということ。
どんなに体にいいものも「ばっかり食べ」は栄養の偏り、そして腸内細菌の偏りを生んで、弊害につながりかねません。これはどの食材にもいえることでしょう。

國澤 純 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 ヘルス・メディカル微生物研究センター センター長

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くにさわ じゅん / Jun Kunisawa

1996年、大阪大学薬学部卒業。2001年、薬学博士(大阪大学)。米国カリフォルニア大学バークレー校への留学後、2004年、東京大学医科学研究所助手。同研究所助教、講師、准教授を経て、2013年より現所属プロジェクトリーダー。2019年より現所属センター長。その他、東京大学医科学研究所客員教授、大阪大学医学系研究科・薬学研究科・歯学研究科・理学研究科招へい教授(連携大学院)、神戸大学医学研究科客員教授(連携大学院)、広島大学医歯薬保健学研究科客員教授、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構客員教授などを兼任。 著書には『善玉酵素で腸内革命』(主婦と生活社)がある。

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