「やせられない人」は腸内環境の重要さを知らない 腸の大きすぎる影響力を知らない人は損をする

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腸内細菌はあくまで、私たちの腸が棲みやすい環境だから、そこにいるだけ。「エサは与えませんが、腸内にいてください」というような人間の勝手は通用しません。もし糖質制限のダイエットをしたいなら、腸内細菌の働きも視野に入れて行いましょう。

白米を主食にしている方は、大麦(押し麦やもち麦)を加えた麦ご飯にしたり、オートミール(オーツ麦)を取り入れたりするのがお勧めです。水溶性の食物繊維が豊富に含まれており、それぞれ腸内細菌のエサになります。かつ、糖の吸収をゆっくりにして、血糖値の上昇を抑えてくれます。

パンやパスタも精製された小麦100%のものでなく、全粒粉入りのものに切り替えるといいでしょう。そうすれば自然と食物繊維の摂取量が増えて、炭水化物をダイエットの敵から強い味方に変えられます。

全粒粉のパンやパスタが食卓にのぼりやすい欧米と比べ、白米好きの日本人は、穀物由来の食物繊維の摂取量が少ないともいわれています。腸内細菌とのよりよい共生の第一歩として、全粒粉や大麦入りのご飯を食べることはとても有効です。

あるいは、食生活にヨーグルトや納豆といった「発酵食品」を継続して取り入れるのもいいですね。発酵食品は私たちの体によい働きをしてくれる菌の宝庫です。口に入れた菌の多くは「通過菌」といわれ、そのまま腸内に定着することは基本的にはありません。

しかし、腸内でいい働きをしたり、常在する自前の腸内細菌を助けて有用菌の増殖に一役買いつつ、有害菌の繁殖を抑えるなど、様々な働きをします。通り過ぎながら、「お助け菌」のごとく活躍をしてくれることで、腸内環境が改善するわけです。

発酵食品を積極的に取り入れることで、好循環を生み出すことができるでしょう。

白米は「冷や飯」にするのが大正解

炭水化物は食物繊維と糖質が合わさったものです。白米は、玄米を精製して食物繊維が多いぬかを取り除いたものなので、“糖質の塊”ともいえます。

糖質は体内に入ると胃や小腸で消化吸収されて、血液の中をめぐるブドウ糖=血糖になります。その値が血糖値です。

ブドウ糖は脳や筋肉、臓器を動かすエネルギーになりますが、とりすぎると中性脂肪として蓄えられます。それが、「糖質のとりすぎは肥満につながる」といわれる理由です。

だから主食は白米から、食物繊維が豊富な玄米や大麦入りのご飯、オーツ麦を使ったオートミールなどに変えることをお勧めするわけですが、これらがちょっと苦手という方には、白米でもお勧めの食べ方があります。

それは炊たきたてではなく、冷まして食べる方法です。冷ました白米では、難消化性でんぷんが増えます。通常のでんぷんは消化酵素で分解されて小腸で吸収されますが、難消化性でんぷんになると複雑な構造に変わるため、消化酵素では分解されません。不溶性なのに水溶性食物繊維と同じように腸内細菌のエサとなり、私たちの体にとって有益な短鎖脂肪酸を生み出してくれます。

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