「ドコモショップ最大手」に浮上したノジマの魂胆 代理店買収で1000超の携帯ショップを傘下に

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ノジマは2030年ごろをメドに売上高1兆円、EBITDA(利払い、税引き、償却前利益)1000億円の達成を目指している。「キャリアショップは間違いなく、家電と並んで重要な2つ目の大黒柱となる。今後もチャンスがあれば(キャリアショップの)M&Aを手がけていきたい」(野島社長)。

もっとも、ノジマの2023年3月期の売上高は5650億円、EBITDAは548億円(いずれも会社予想)の見込みで、コネクシオの売上高1950億円(同)が加算されても、目標には遠く及ばない。

内訳を見ると、家電量販店は堅調な一方、キャリアショップ運営事業はすでに足元で伸び悩んでいる。同事業の2022年3月期の経常利益は、前期比3割減の58億円だった。

ノジマのキャリアショップ運営事業の業績推移

野島社長は業績の伸び悩みを認めつつも、「キャリアショップ業界で、うちより(収益性の)いい会社があるかというと、恐らく一定の規模以上では見当たらない」と、あくまで強気姿勢を貫く。

ただ、現時点でキャリアショップ運営事業の収益性を上げるための具体的な道筋は見えていない。店舗規模を拡大したところで、どこまで残存者利益を得られるかは不透明感も漂う。

兼松は販売代理店2社を相次ぎ傘下に

実は今、携帯販売代理店に商機を見出しているのはノジマだけではない。

総合商社の兼松は2023年に入ってから、携帯販売代理店を展開する子会社の兼松コミュニケーションズを通じて、発表されている限りですでに2社の同業を傘下に収めている。ティーガイアやベルパークなどの代理店株を投資目的で保有する光通信は、2023年3月にティーガイアの株式を市場で買い増した。

市場全体は縮小傾向にあるとはいえ、社会インフラである通信は比較的安定した需要が見込める。iPhoneの新シリーズ登場などに伴うスマホ買い替え「特需」も定期的に発生し、底堅い事業領域という見方もできる。

ノジマや兼松の思惑について、残存者利益を狙う以外にも「店舗数を拡大してキャリアとの交渉力を高めたいのでは」(大手代理店幹部)、「今後キャリアがショップでの独自商材の販売規制を緩めれば、代理店が収益を上げやすくなるとみているのでは」(市場関係者)といった声も上がる。

斜陽産業で逆張り戦略に打って出たノジマ。その成否次第で、携帯販売代理店の勢力図は今後大きく変わる可能性もありそうだ。

高野 馨太 東洋経済 記者

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たかの けいた / Keita Takano

東京都羽村市生まれ。早稲田大学法学部卒。在学中に中国・上海の復旦大学に留学。日本経済新聞社を経て2021年に東洋経済新報社入社。担当業界は通信、ITなど。中国、農業、食品分野に関心。趣味は魚釣りと飲み歩き。

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