東日本大震災の想像を絶する避難所生活、劣悪な環境で感染症蔓延も
死者・行方不明者が2万7000人超に達した東日本大震災。被災した地方自治体の中でも、最も被害が大きかった自治体の一つが宮城県石巻市だ。
石巻市内の死者は2283人、行方不明者は2643人。避難所で暮らす人は2万2745人に達している(3月29日時点)。人口約16万人のうち、実に15%近くが、今も避難所での生活を強いられている。
石巻市内では、旧北上川の河口近くに立地していた石巻市立病院が、津波をかぶって診療不能に(下写真)。市内に75あった診療所のうち、28カ所が津波で流された。
そうした中で、市郊外の高台にあったため、被害の少なかったのが石巻赤十字病院だった。全国各地から訪れた医療スタッフがそこを拠点に診療に従事。市内各地の避難所にも出向き、診療に当たっている。
が、震災発生からすでに3週間近く経過しているにもかかわらず、被災者の生活環境や衛生状態は一向に改善していない。
石巻赤十字病院の石井正・第一外科部長(宮城県災害対策コーディネーター、右写真)は、「このまま劣悪な衛生状態が続いた場合、感染症などで多くの被災者が命を落とすおそれがある」と警告する。
石井部長によれば、「当院では、救急外来の患者数が地震から時間が経過したにもかかわらず、一向に減らない。本来の高次救急やがん患者への医療提供もままならずに、野戦病院化したままになっている」という。