東日本大震災の想像を絶する避難所生活、劣悪な環境で感染症蔓延も

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 また、電車やバスなどの公共交通機関が依然としてマヒしているために、掛かりつけの病院に通えない人も続出。そうした“通院難民”が急に訪れたことでパンクする診療所もある。松島海岸診療所(松島町)では、普段の土曜なら患者数が30人程度にとどまるのに、震災後は倍以上に急増(下写真)。「津波被害で検査機器が使用不能になっている中、限られた診療を続けている」(同診療所を運営する松島医療生活協同組合の青井克夫・専務理事)。

 

 

多くの病院や診療所が津波被害で機能を停止・縮小する一方、残された基幹病院には救急患者が殺到。地震の被害が少なかった坂総合病院(塩釜市)では、震災10日目までに救急車が平時の3倍以上も押し寄せた(下写真)。その後3月22日時点で、来院患者数や救急搬入患者数はピークアウトしたとはいえ、依然として高水準だ。「震災当日から昼夜問わずフル活動していた職員は、24時間のトリアージ(重症度区分に基づく診療)を維持するのが限界に来ていた」(佐々木隆徳・坂総合病院救急科医師)。

 

 

全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)に加盟する同病院には、全国の加盟医療機関から多数の支援スタッフが支援に訪れていたこともあり、3月23日には有事のトリアージ体制を終了させ、通常診療の再開を実現。支援スタッフの力を借りて、多賀城市や塩釜市内の避難所などへの巡回診療を続けている。しかし今も、救急車が平時の2倍以上来ており、厳しい状況に変わりない。

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