「入社したら3年は辞めずにがんばりなさい」というアドバイスは、多くの就活生・新入社員が聞いてきた言葉だ。しかし、場合によってはさまざまなミスマッチにより、3年も経たずに新卒が退職してしまうこともある。新卒の3年後離職率は、企業にとっては「きちんと自社にマッチした人材を採用できているか」という重要な指標であり、就活生や転職希望者にとっても、「入ってすぐ辞めたくなる企業かどうか」を確認する際に参考になるはずだ。
ただ、直近の数字だけを見て新卒3年後離職率を判断するのは難しい。企業の業績や3年前の新卒入社人数など、さまざまな要因で新卒3年後離職率は変化していくからだ。業界によっても状況は異なる。気になる企業については、過去数年分の新卒3年後離職率をチェックし傾向を見ておくことが望ましいだろう。
『就職四季報 総合版』とその公式デジタルサービス「シキホー!Mine」では、各企業への独自調査により毎年新卒3年後離職率を算出し掲載している。この記事では、直近の新卒3年後離職率が10%以上で以前より上昇している企業と、3期前は新卒3年後離職率が10%以上であったが急激に低下した企業に着目し、それぞれ50社ずつピックアップした。
もともと採用人数が少ない企業では1人の離職が指標に大きく影響を与えるため、2017年、2018年、2019年入社者が20人以上の企業に絞り、各年の新卒入社者の3年後離職率を算出しその年平均成長率により抽出している。
ここ3年で新卒が辞めている企業は?
新卒3年後離職率がここ3年間で上昇した企業としてピックアップした50社のなかには、INPEXや伊藤忠エネクス、JA共済連や共同通信社など、就職人気ランキング(文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所)で上位に名前が挙がる企業もある。
これらの企業を志望する就活生は不安に感じるかもしれないが、3年間で新卒3年後離職率が上昇したとはいえ、直近の数値はいずれもまだ高い水準ではない。厚生労働省の調査によると、大卒の新卒3年後離職率の平均は毎年約30%前後となっており、この数値が上昇傾向にある企業が今後30%のラインを超えてくるか注視していく必要がありそうだ。
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