社員のやる気を下げる「人事評価制度」の落とし穴 1万社以上を見てきて気が付いた失敗パターン

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一般的には社員数が20人を超えた頃から、社長が社員全員を細かく見ることができなくなり、次の2つの事象が発生するようになります。これらの事象の発生が、社内制度として人事評価制度を構築すべきタイミングのサインとなります。

事象1:社長がいてもらいたい社員が辞めてしまう

成果を出している社員は、「社長のあたま評価」の段階であっても高い評価を受けており、給与・賞与が上がります。そのため、社長の評価にも満足しています。

しかし、社員が増えてくると成績上位者、つまり「仕事ができる社員」の人数も増え、そのうちのダントツのトップではない下位者、たとえば成績上位だけれども上から4位や5位くらいの社員が、「自分は、もっと給与をもらうべきでは?」などと社長の評価に疑問を感じるようになります。結果、退職する人も出てくるでしょう。

「社長のあたま評価」から脱却する

「社長のあたま評価」では昇給基準や昇進・昇格の基準が文書化されていないので、自らに対する評価に疑問を持つ社員が、このくらいの社員数からはどうしても出てくるのです。「このままいまの会社にいては給与が上がらないし、偉くもなれないな……」などと感じ、最悪の場合には退職してしまいます。

このように、期待していた社員の退職がパラパラと発生してきた段階で、「社長のあたま評価」から脱却し、しっかりとした人事評価制度を構築すべきでしょう。

事象2:まじめに仕事をしていない社員の発生(やる気なし・手抜き社員が増えてくる)

会社が小さいうちはよいのですが、社員数が増えて20人を超えたあたりから、「社長のあたま評価」だと、先ほどの成績上位者だけでなく普通の社員の一部も社長の評価に疑問を持ち始めます。

結果、「真面目に仕事をしても、給与はそんなに上がらない」、「成果を出しても、賞与がたくさんもらえない」などと感じ、仕事の手を抜いたり、やる気がないまま仕事に取り組んだりする社員が発生してきます。

こうした社員が複数出てきたタイミングも、「社長のあたま評価」から脱却し、きちんとした人事評価制度を構築すべき時期だと言えます。

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