社員のやる気を下げる「人事評価制度」の落とし穴 1万社以上を見てきて気が付いた失敗パターン
新制度の導入時には評価面談を4半期に1回実施していたが、しばらくして業務が忙しくなり、半年に1回になってしまう。1回の面談時間は1時間を設定していたが、実際には15分で終了してしまう。……そうした運用の失敗が積み重なると、評価結果を社員に十分に説明できなくなり、社員の評価への納得度が低くなり、モチベーションは下がってしまいます。
人事評価制度の世界でも「継続は力なり」です。当初の設計思想どおりに人事評価制度を運用していく必要があります。
安易に制度を新設して失敗する
会社を創業し、社員数が10人くらいに成長してくると、「うちには人事評価制度がないので、そろそろ人事評価制度をつくったほうがいいのではないか?」などと社員や幹部から社長に提案が出てきます。
社長も、「そうだな、そろそろつくったほうがいいかな」と考え、お金と時間をかけて「人事評価シート」をつくってしまいがちです。
しかし、この行動には次の2つのデメリットが発生するので、私はお勧めしません。
・デメリット2:人事評価制度で出てきた点数が社長の評価イメージと合わなければ、結局は社長が修正せざるを得なくなる(いわゆる「えんぴつなめなめ調整」)
そのため、このくらいの規模の会社であれば、新たに人事評価シートを作成することはせず、社長のあたまの中だけでの評価(以下、「社長のあたま評価」と呼びます)の継続で十分です。
「社長のあたま評価」では、社長が社員の仕事ぶりを観察し、社員と頻繁に会話をすることで社員の給与・賞与を決めたり、昇進を決めたりします。
評価者は社長1人なので評価基準がぶれず、毎日の社長との会話がそのまま評価面談であり、社長から社員へのフィードバックもそのまま「社員の成長のための気づき」になります。
社長が全社員から信頼・尊敬されていれば社員の納得感も高く、評価コスト0円の最高の人事評価制度です。
ところが、社員数が20人を超えてくると、先ほど挙げたひとつ目のデメリットがなくなります。人事評価シートの作成・集計コストが無駄にならず、経営に必要な投資・費用に変わってくるのです。
その理由は、これくらいの社員数で「社長のあたま評価」の限界がやってくるからです。
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