社員のやる気を下げる「人事評価制度」の落とし穴 1万社以上を見てきて気が付いた失敗パターン

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人事評価制度の落とし穴とは(写真: takeuchi masato / PIXTA)
会社経営で経営陣の頭を常に悩ませる課題が「人事評価」です。人が人を評価する際、完全に公平な基準を設定するのは難しく、常に改善策が模索されている分野といえます。その人事評価について、多様な業界・規模・社歴の企業の現場を見てきた経営コンサルタントの白潟敏朗氏は、その長年の経験から、中小ベンチャー企業が人事面で失敗しがちな「典型的な落とし穴パターン」が存在すると指摘します。同氏の著書『人事評価制度 17の大間違い』より、一部抜粋・再構成のうえ、17の典型的失敗パターンから2つをご紹介します。

人事評価制度の整備や改善は、実は社員のモチベーションを上げるための取り組みではなく、本質的にはモチベーションを下げないための取り組みです。

そこを誤解してしまい、人事評価制度を整備・改善することで社員のモチベーションを上げようとするケースが多くあるのですが、これは、もっともよく見られる「落とし穴」パターンのひとつです。

仕事に対してやる気を失う理由

有名なハーズバーグの動機づけ・衛生理論では、人間の2種類の欲求(動物的欲求と人間的欲求)について、それぞれに「仕事へのやる気を増大させる動機づけ要因」と「仕事に対してやる気をなくす衛生要因」をまとめています。

以下はハーズバーグの動機づけ・衛生理論(1959年)です(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。

(本書より引用)

この理論で言う「仕事に対してやる気をなくす」とは、言い換えれば「満たされないと腹が立つ」ということです。ただし、腹が満たされたところで、やる気は上がらない状態です。

このような状態をつくる衛生要因のひとつに「処遇(待遇の仕方)」、いわゆる人事評価制度があります。

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