原発自主避難の南相馬・原町地域で物資供給基地の役割を果たすセブン−イレブン【震災関連速報】
福島県南相馬市は、震災の被害が甚大だったのに加えて、過半の地域が東京電力福島第1原子力発電所から30キロメートル圏内にある。25キロメートル圏にあたる同市の中心街、原町地域は自家用車こそ走っているものの、出歩く人の姿を見ることは皆無に近い。屋内退避地域だからだ。町並みをみても、ほとんどの店が閉店している。大型量販店などもすでに店舗の一時閉鎖を決定し、ドアを閉ざしたままだ。
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そうした状況下で、セブン-イレブン原町西町店が営業を継続し、市民にとっての重要な物資供給基地となっている(=写真=)。入り口のガラス壁面には、歩くことが困難な老人などに食事を届けるボランティア募集の張り紙がある。
同店店長の高倉豊光さんが一時閉めた店を再開する決意をしたのは「顧客が戻ってきている以上、これからも店を空けて営業し続けたい」という理由からだった。
確かに、一時、市外に避難していた住民の帰宅の動きが相次いでいる。高倉さんは震災発生後も店を開けていたが、混乱の中で物資の配送との連絡が途絶えて、3月12日午後3時には営業を断念せざるをえなくなった。食料確保を急ぐ顧客が次々と来店し、「最後に残ったのはチーズ、バター程度だけだった」と言う。
その後、高倉さんも一時、二本松に非難したが、住民が戻り始めたという話を聞いて、急いで戻った。そして、3月26日、近隣の30キロメートル外の店舗が営業再開するという話を担当のオペレーション・マネジャーから聞いて、「私の店も開くので配送してほしい」と求めて、営業再開にこぎつけた。
「周辺では、年配の方々が生活に困って泣いていた。店を開いて、少しでも状況を改善したかった」
再開した3月26日、顧客が殺到することが予想された。同店は、高倉さん夫妻とアルバイト二人という体制であり、それを心配した本部が5名の応援部隊を送り込んだ。予想通り、店を開けるや、顧客が次々とやってきた。商品配送から棚への陳列が終わり、開店したが、じつに1時間で、すべての棚がガラ空きとなってしまった。