原発自主避難の南相馬・原町地域で物資供給基地の役割を果たすセブン−イレブン【震災関連速報】
4月2日現在、次第に住民も落ち着きを取り戻して、再開当初のような状況ではなくなったが、それでも、駐車場スペースはつねに満車状態であり、入れ替わり立ち代り、顧客がやってきている。
10時30分、この日の第1回目の配送があり、高倉さんたちが商品を棚に配置し出すと、おにぎり、食パン、サンドウィッチ等々に顧客の手が次々に伸びる。新聞は、あっという間に売り切れた。1時間経過すると、次第におにぎりの棚が開き始めた。
配送は昼前と夕方5時から6時の2回。「次の配送は何時か」という問い合わせ電話が相次ぐ。配送時間が遅れることもあるので、高倉さんはあまり具体的なことは言わず、この地方の言葉である「晩方前(ばんがたまえ)」と答えるようにしている。顧客をがっかりさせたくないからだ。
いま、高倉さんが望んでいるのは「屋内退避の規制の撤廃」だ。
「誰でもここに戻りたがっている。しかし、物資が入ってこない。ガソリンを積んだタンクローリーも30キロメートル地点で、それまでの運転手は下りてしまって、代わって、自衛官が運転してガソリンスタンドに運んでいる。とにかく、モノを買えるようにしてほしい」
確かに、原発の危険度が詳細に公表されないままの屋内退避措置には矛盾が多い。
「その地にとどまってもいいが、それはあなたの勝手」というのは、いかにも政策としては無責任といわざるを得ない面もある。多くの市民が高倉さんと同じ思いを静かに募らせている。
(浪川 攻 撮影:梅谷秀司 =東洋経済オンライン)
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