「激務でも合コン」ギャル男上司の目から鱗な教え サステナブルな働き方をするには「休む勇気」を

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どんなに時間を使って徹夜で悩んだとしても、質の良いアウトプットがなければコンサルタントの仕事は意味がない。何も知らない経験の浅い社員が徹夜で一所懸命に悩み抜いて出した答えよりも、10年分の知識と経験のある社員が1秒で出した答えのほうが圧倒的に価値を持ってしまうのが、コンサルタント業の非情な部分だ。

答えを知らない人間が悩んでも無益だ。コンサルタントであるならば、悩むのではなく、考えなければいけない。答えを知らないなら知る人を探す、調べる、そのようにしてインプットの量と質を上げる他ないのだ。

ひとつの課題に対して20分以上、頭と手が止まっている場合はすぐにインプットできるやり方に舵を切る必要がある。作業が進まないのはまだ考えるに値する材料がないことを意味しているからだ。

手が止まる理由の多くは、自分自身は「考え」ている時間が実は「悩み」の時間として消化されてしまっていることだ。仕事において、「悩む」時間は極力ゼロにすることが求められる。「これってどうすれば良いのだろう……」と悶々と1時間悩んでも10時間悩んでも、クライアントがその時間によって得られるリターンはないからだ。

コンサルタントの時間は何かの答えを出すための検証(文献の調査やデータ集計を通した証明等)にこそ使うべきで、答えがないことを悶々と考えるために使うべきではない。悩んでいる時間はエネルギーを使うので、自分としては仕事をしている気分になれるため、時間とエネルギーを消費しながらも誰からも感謝されないという最悪のスパイラルへとはまっていくことになる。

コンサル社員
図表:『コンサルティング会社 完全サバイバルマニュアル』より

ゴミを生産しているのとあまり違いはない

労働時間なんてどうでもいい。価値のあるアウトプットが生まれればいいのだ。たとえ1日に5分しか働いていなくても、合意した以上のアウトプットをスケジュールどおりに、あるいはそれより前に生み出せていれば何の問題もない。「一所懸命にやっています」「昨日も徹夜でした」といった頑張り方は「バリューのある仕事」を求める世界では不要だ。最悪なのは、残業や休日出勤を重ねるものの「この程度のアウトプットなら、規定時間だけ働けばよいのでは」と周囲に思われてしまうパターンだ。
安宅和人『イシューからはじめよ 知的生産の「シンプルな本質」』
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