ソルテラに1300km乗って直面した充電環境の現実 6日間の旅で感じた充電インフラのあるべき姿

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旅を通じた総括の前に、1つ補足しておきたいことがある。ソルテラとbz4Xについて、1日2回までしか急速充電ができない(または3回目の充電の電流がかなり弱くなる)、という話が一部ユーザーの間でとりざたされていることについてだ。

この点について、スバル本社とトヨタ本社に確認したところ、満充電に対して10~80%を急速充電1回分とみた場合、その2回分相当を超えると、電池への負担を軽減するため、充電での電流を抑制するシステムがはたらくという。あくまでも2回分相当であり、充電回数2回という解釈ではない。

ソルテラのモーターなどの駆動システム(筆者撮影)

なお、今回の旅では、こうした制御によって充電の使い勝手が悪いと感じる状況には遭遇していないから、実用上の心配はあまりないだろう。

「エネルギー総量政策」と「日常の使い勝手」のバランス

最後に、今回の旅を通じて感じた“充電インフラのあるべき姿”について私見を述べたい。以下、箇条書きとする。

  • BEVは自宅周辺、または長距離でもゴルフ場や観光スポットなど行き慣れた場所との往復であれば、充電計画が立てやすい。いわゆる「基礎充電」がBEV利用の基本であり、目的地での滞在時間が長い場合、「基礎充電」と同じような「目的地充電」が可能となる。
  • 「基礎充電」と「目的地充電」では、自宅/事業所/宿泊施設での“夜間の普通充電”とする。 その場合、出力6kW(工事費込みで数十万円)が望ましいが、200V/16A(3.2kW)のいわゆるBEVコンセント(工事費込みで数万円)でも十分である。
  • 今回のような移動が多い場合、「経路充電」が必然となる。そこでは、いつも頭の中に「充電」の2文字がよぎるため、余裕ある行動計画が必要だ。
  • 宿泊施設では今後、普通充電器の数を増やすことに加え、予約時点で普通充電器の利用が担保される仕組みづくりが必要だ。
  • 急速充電器の再整備は急務。故障の放置は敷地の有効利用ができず、見た目も汚くなるばかりで、BEVのイメージダウンにもなる。撤去費用の一部を国や自治体で負担することも必要ではないか。
  • 最近、ディーラーの充電器設置が進むが、他ブランド車の使用を含めた24時間対応は日産ディーラーばかり。「困った時の日産ディーラー頼み」が続くようでは困る。BEVを扱う店舗は、出力50kW以上の急速充電器が必須。設置コストの一部は、メーカーが補助し、また設置場所は店舗入り口近くで24時間対応を考慮してほしい。

国は、BEVユーザーの使い勝手向上に加え、モビリティを含めたエネルギー総量政策を明確化するべきではないだろうか。BEVのさらなる普及には、充電インフラの再整備のみならず、電力需給の中でBEV充電に使える電気の総量をコントロールすることも必要なはずだ。

理想は再生可能エネルギーの地産地消だが、国はカーボンニュートラル燃料による内燃機関の活用も含めた、モビリティのエネルギー需給をコントロールする仕組みの構築に着手するべきであろう。BEVについては今後も、多様な観点から取材を続けていく。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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