ソルテラに1300km乗って直面した充電環境の現実 6日間の旅で感じた充電インフラのあるべき姿

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ステアリングに対するクルマ全体の動きは、穏やかなセッティングだ。アクセルレスポンスに対する加速の伸びは、強烈すぎずに爽快感があり、今回のような長距離移動はとても楽だといえる。

1つ注文をつけるとすると、やはり新世代アイサイトがほしい。ソルテラは、トヨタのADAS(先進ドライバー運転支援システム)を採用しているが、新世代アイサイトと比べると、レーンキーピングアシスト(車線逸脱抑制装置)の利きは緩やか。

また、追い越し時などでの前車追従の自然さなどは、「レヴォーグ」などが搭載する新世代アイサイト(およびオプション設定のアイサイトX)が勝る印象だ。

三重県伊賀鉄道伊賀線の上野市駅(愛称:忍者市駅)の駅前にて(筆者撮影)

走りについてもアイサイトも、スバル第2弾以降のBEVではもっと“スバルらしさ”が際立つことを期待したい。さもなければ「水平対向エンジン+シンメトリカルAWD」という独自性の高い内燃機関技術で培ったスバルブランドが、BEV時代の中で埋もれてしまいかねないからだ。

単純にBEV技術で他社と差別化することに注力するのではなく、BEVシフトを通じてスバルのブランド価値を再構築していくという強い意志を、スバルにかかわるすべての人が共通認識として持つことが重要だと感じる。

こうして、初日は充電について特に困ることはなく目的地に到着した。ところが、2日目以降は悩みながらの旅となった。

30kW充電器の実勢出力が8kW!?

2日目、ホテルに充電設備がなかったので、鈴鹿サーキットに向かう途中、道の駅「津かわげ」に立ち寄る。EVsmartによると、ここの充電器の出力は30kW。充電機器は初期の急速充電器であり、これを中速充電とも呼ぶことがある。

また、ここの充電器には「一部車両(ジャガーI-PACE、三菱アウトアウトランダーPHEV≪2021年12月16日発売以降のモデル≫)が充電できない」との貼り紙があった。

この時点での航続可能距離は123km。30kWを30分間充電すれば15kWh稼げるので、距離にしてざっとプラス80kmになり、航続可能距離が200km台まで回復することを見込んでいた。

ところが、充電を始めると表示された数値は、348Vで23A。348V×23A=8004W→約8kWと、見込んでいた4分の1程度の出力しかない計算だ。そのため、充電をすぐにキャンセルし鈴鹿サーキットに向かった。

スーパー耐久シリーズ2023に参戦する「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」(筆者撮影)

サーキット内には急速充電器があったが、駐車したのがレース関係者用の場所だったので利用できず、また普通充電設備もなく、ソルテラは終日無充電の状態となった。

同日、行われたスーパー耐久の予選は雨の中での実施となったが、カーボンニュートラル燃料を使うスバル「Team SDA Engineering BRZ CNF Concept」や、次世代ディーゼル燃料を使うマツダ「MAZDA SPIRIT RACING MAZDA 3 Bio concept」など、自動車メーカー本社統括による開発車両は順調に走行を重ねていた。

また、トヨタは川崎重工、岩谷産業とともに、新規導入予定の液体水素の内燃機関への利用について、メディア向けのラウンドテーブル(会見)を行った。

次ページ「臨機応変」がBEV旅の基本と再確認
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