ついに政府が言及「就活オワハラ」深刻すぎる実情 内定が出た瞬間に店舗でのアルバイトの強要も

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バブル期には3S接待と言われるものがあった。「寿司・ステーキ、サウナ、ソープランド」の略である。他、映画館など遊ぶ場所に連れ回される、新幹線で博多と往復させられるなど、拘束のための手段は多々あった。

バブル期に限らず、2000年代半ば、2010年代半ばに売り手市場となった際は高級ホテルでの懇親会の開催、観光地での「研修」なども開催された。これらは「オワハラ」とは言い切れないが、過剰な接待、拘束であることは間違いない。結果、大学にも他社の選考にも参加できなくなるというわけだ。

現在においても、ハラスメントとまでは言えないものもあるし、内定者同士の交流を行うものでもあるが、学生を拘束し、他社を受けさせず、入社を宣誓させる取り組みであり、ときに学業を阻害する。

実際、私の教え子がここ数年、遭遇した具体例は次のようなものだ。一部は必ずしもハラスメントと呼べないものもある。ただ、学生が困惑し、ときには精神的に追い詰められたものもある。

・内定承諾書、入社承諾書の提出を強要される
・教員からの推薦状を要求され、内定を辞退しにくい雰囲気を醸成する
・内定が出た瞬間、店舗でのアルバイトするように促される
・毎日のように電話がかかってきて就活状況の報告と内定承諾をしつこく要求される
・卒論が忙しい時期に、内定者研修、合宿への参加を強要される

最近では、ハラスメントの加害者側も変化している。必ずしも企業の採用担当者ではないのだ。エージェントの担当者によるもの、さらには採用アウトソーシング会社によるものもある。

前者は、採用が確定することによってチャージが発生するので、なんとしてでも入社してもらうように働きかけてしまうことがある。私の教え子は「君にはここしかない。周りはもう決まっている。今すぐ決断するように」と大学4年生の5月に強い口調で説得され、心が折れ就活を中断してしまった。

また、後者については、採用活動は必ずしも企業の人事部だけで行われておらず、面接のセッティングなど各種連絡を外部の企業が行うことがある。なんとしてでも、内定受諾率をあげたいので、連絡時に強いトーンで説明され、学生が傷つくこともある。

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