大学生の就職活動の早期化が進んでおり、企業の広報活動「解禁」日にあたる3月1日の時点ですでに内定を得ている学生も少なくない。企業による早期のプロモーションや接触をもとに、志望企業を決める学生が増加傾向にあるようだ。
文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所の「ブンナビ学生アンケート」によると、3月(3月1~12日)時点の2024年卒(現在の大学4年生、大学院1年生)の内定率(内々定率)は36.1%で、前年同期の26.9%から9.2ポイント、一昨年前の同じ時期から12.2ポイント増えた。
コロナ禍からの経済活動の再開や、人手不足を背景に企業は新卒採用に積極的な中、今年の就活生はどんな企業に注目しているのか? 文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が実施している、「就職ブランドランキング調査」から、就活生の関心が高い企業をランキング形式でまとめた。
調査対象者は、就職サイト「ブンナビ!」に登録する現在就活中(2024年春卒業予定)の大学生や大学院生。登録者のうち、大学名を問わず約2万5000人が回答している。調査期間は2022年10月1日から2023年3月15日まで。「前半」とあるのは、同調査が就活フェーズにあわせて複数回実施しているからだ。
具体的には、3年生の4月から9月の「早期」、10月から3月中旬の「前半」、3月中旬以降から4年生の6月末の「後半」の3回。あこがれやイメージが強い就活の「早期」、インターンシップなどを経て企業を判断できるようになった「前半」、実際の説明会や面接、内定を経たあとにふりかえる「後半」と分けることで傾向の違いを見ている。
4年連続で伊藤忠商事がトップ
トップは4年連続で伊藤忠商事だ。属性別で見ても男子、女子、文系で1位となり、理系は3位にランクインした。20時以降の残業を原則禁止とし、「朝型フレックスタイム制度」を導入するなど積極的な働き方改革で知られる。こうした取り組みの結果、2021年度の女性社員の期間合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数)は「1.97」に達したという。この数字は日本の出生率を大きく上回っている。
資源高を追い風に好業績の総合商社の注目度は高く、トップ10に5位三菱商事、8位丸紅が入った。三井物産と住友商事も前年同時期の調査より順位を上げている。
金融の人気も根強い。2位日本生命保険、3位大和証券グループ、4位東京海上日動火災保険、9位損害保険ジャパン、10位SMBC日興証券と、上位10社のうち半分を占めた。メガバンクの新卒採用数が減少傾向にある中、保険や証券が安定した企業への就職を希望する学生の受け皿となっている。
コロナ禍の影響を大きく受けて採用を抑制していた航空は回復傾向にあり、全日本空輸(ANA)が74位、日本航空(JAL)は80位とトップ100圏内に返り咲いた。ANAは2024年春の入社予定者から客室乗務員(CA)の新卒採用を4年ぶりに再開。水際対策が緩和されたことでインバウンド需要の回復が期待されている。