「帝国ホテル」がジム自力運営を成功させた作戦裏 自主積極的に動くミッションコマンド型を活用

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帝国ホテル
帝国ホテルが運営するホテル内のフィットネスセンター・プール・サウナ(写真:帝国ホテル東京の公式サイトより)
4月、新しいチームを束ねることになった人もいるかと思います。「『理想のチーム』に最適化するには『作戦術』の思考が必要」だと語るのは、元陸将で西部方面総監を務めた小川清史氏です。最小の努力で最高の成果をあげるこのメソッドは、組織・チーム・ビジネスを勝ちに導くといいます。
本記事では、「作戦術」をうまく生かした組織事例をご紹介します(『組織・チーム・ビジネスを勝ちに導く 「作戦術」思考』より一部抜粋・編集してお届けします)。
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ホテルのサービス精神で“ジム”を運営

帝国ホテルのスポーツジム、プール、サウナの運営について紹介したいと思います。

帝国ホテルと言えば、日本のホテルの老舗中の老舗であり、クリーニングだけを見ても、キアヌ・リーブスが出演した映画『JM』のなかで、「クリーニングを頼みたい。帝国ホテルで頼むようなクリーニングだ(I want my shirts laundered like they do at the Imperial Hotel in Tokyo.)」とアドリブで言った台詞で話題になるくらいの各種サービスレベルの高さです。

しかし、コロナ感染拡大を受けて、ホテル業界は大変な危機を迎えてしまいました。帝国ホテルも例外とはいえず、客室に空きが多く出ました。

そこで、2021年から「ホテルに住まう」をコンセプトに「帝国ホテル サービスアパートメント」という新しい事業に取り組みました。

一般的なサービスアパートメント(アパートやマンションのように賃貸契約を結んで入居し、ホテルのようなサービスを受けられる住居)で行われているような不動産契約ではなく、通常の宿泊のような比較的簡単な利用手続きで、1週間なり1カ月なりを帝国ホテルで過ごせるというサービスです。実は私も利用したことがあります。

帝国ホテルは、事業を開始するにあたり、タワー館の客室3フロアの一部を改修し、99室をサービスアパートメントとしました。同じタワー館には、スポーツジム、プール、サウナがあります。1カ月をホテルで過ごすには欠かせない施設です。

コロナ禍以前は、外注で運営していたとのことですが、現在は帝国ホテルが運営し、ジム内のスタッフも帝国ホテルの従業員が就いています。「ホテルマンやホテルレディにスポーツジムの運営ができるのか?」と思われるかもしれませんが、見事に運営されています。

アメリカのホテルなどのジムは、スタッフがいないことが多く、片隅のテーブルの上にペットボトルの水とタオルが無造作に置いてあるだけで、器材も修理中というのが必ず1つや2つは目につくのですが、帝国ホテルのジムではそのような光景は見られません。

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